目次
📖 引用原文（日本語訳）
二＊
物惜しみする人々は、天の神々の世界におもむかない。
その愚かな人々は、分ちあうことをたたえない。
しかしこの信ある人＊は、分ちあうことを喜んでいるので、
このようにして来世には幸せとなる。
※出典：『バガヴァッド・ギーター』第16章第2節（または類似内容を含む注解部）。
＊信ある人：シュラッダーを持つ者、信仰・信念のある人。
📝 逐語訳
- **物惜しみ（ケンチャナ）**する者たちは、
天上の世界（神々の住む高次の境地）には至らない。 - **愚かな人々（ムーダハ）**は、
「分かち合い（ダーナ）」の価値を理解せず、称えることもない。 - 一方、**信仰を持つ者（シュラッダー・ヴァーン）**は、
喜んで分かち合い、施すことを尊ぶ。 - その行為によって、この人は未来世（来世）において幸福を得る。
🧩 用語解説
- 物惜しみ：
自己の富や時間、労力を他者に与えることを極度にためらい、独占しようとする姿勢。 - 分ち合う（施し／ダーナ）：
他者への与える行為。物質だけでなく、心・労力・知識・機会を共有することも含まれる。 - 信ある人（シュラッダー・ヴァーン）：
善行の意味とその結果を信じ、行動する者。内に信仰・信念を持つ人。 - 天の神々の世界（スヴァルガ・ローカ）：
徳ある魂が報いとして赴く至福の次元。来世の幸福の象徴。
💡 全体の現代語訳（まとめ）
他人に何も与えず、自分だけで抱え込む人は、魂の成長を妨げ、幸福な未来には至らない。
真理を信じる者は、惜しむことなく分かち合い、その行為がやがて自らの幸せを育てる。
分かち合いは、未来への最も確かな投資である。
🔍 解釈と現代的意義
この節は、「与えること」「分かち合うこと」こそが真の繁栄への道であることを教えています。
一見「失う」ように思える行為が、実は自分自身を深く育て、次の世界（未来）を豊かにする。
現代では、「コスト意識」や「損得勘定」が重視されるあまり、与えることに消極的になりがちです。
しかし、長期的な成功と幸福は、「与える人」にこそ訪れるという、逆説的で普遍的な真理が示されています。
🏢 ビジネスにおける解釈と適用
| 観点 | 適用例 |
|---|---|
| リーダーシップ | 部下や同僚に知識・経験・成功のチャンスを惜しみなく分け与えることで、組織全体が成長する。 |
| 社内文化形成 | 情報共有・支援・横断的な協力が「分かち合い」の文化を形成し、会社全体のレジリエンスを高める。 |
| 顧客対応 | 目先の利益ではなく、顧客にとって本当に価値のある提案を惜しまず行うことで、長期の信頼が育つ。 |
| 未来投資の姿勢 | 他者に与えることは、自分の信頼・ブランド・縁を育てることと同義。最終的には大きく返ってくる。 |
✨ 心得まとめ
「惜しむ者に未来はない。分かち合う者が道を開く」
私たちは失うことで損をすると考えがちですが、
実際には「与えること」が、最も確実な成長と幸福への道です。
信じ、分け与えることを喜ぶ者には、時を超えた豊かさが訪れる。
それが、バガヴァッド・ギーターが語る「未来を照らす徳の力」です。
コメント