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事業の本質は「市場活動」である

この記事でわかること
目次

まえがき

事業経営の最高責任者である社長は、まず何をおいても「正しい姿勢」をもたなければならない。

その姿勢とはどんなことであり、何が社長の役割であるかについて最も基本的な事柄をのべてみたのが本書である。

一つは最高責任者としてのあり方であり、もう一つはお客様に対する態度である。

「お客様の要求を満たす」ことこそ、事業経営の根底をなす会社のあり方であり、最高責任者である社長の基本姿勢でなければならない。

本書では、この点に焦点を合わせ、筆者がぶつかった実例を紹介しながら、社長が知らず知らずのうちに陥っている誤りを指摘して″他山の石´としていただくとともに、社長の正しい態度とはどんなことなのかを、さまざまな角度から掘り下げてみたのである。

会社の業績が振るわない根本原因は、必ず社長がお客様の要求を無視しているからであり、お客様の要求を無視している限り、何をどのようにやっても会社の業績は絶対によくならないことを、本書から学んでいただきたいのである。

そして、一人でも多くの社長が、「お客様あっての会社」であるという正しい認識をもってもらいたいのである。

社長が、この正しい認識をもつと、その瞬間から会社の業績が向上しだすのを、私はこの目でシッカリと見届けているのである。

筆者の悲願は、 一人でも多くの社長が、お客様第一の姿勢をとり、会社を繁栄に導いてくれるところにある。

会社の永久的繁栄こそ社長としての社会的責任の最大のものだからである。

一九九二年二月

一倉  定

※本書は、産能大学出版局から出版された『社長の姿勢』を、 一倉定社長学シリーズに収録するにあたり、構成を大幅に変え、新たな原稿を加えた『新・社長の姿勢』(一九九二年刊)を復刻した新装版である。

社長の「正しい姿勢」こそ「正しい経営」の基礎である

事業の本質は「市場活動」である

事業の経営の本質は何か、について、明確な定義は、私の知る限りではない。ドラッカーの名著『現代の経営』においてさえ、これには触れていないのである。この、明確な定義づけがないための混乱は、筆舌に尽くし難いものがある。

事業の経営は、「市場活動」によって生みだされる経済的価値――収益によってはじめて存続が可能である。

この経済的価値は同時に社会に対する貢献となる。そのために、社会に存在することが認められ、法律による規制が行われるのだ。

この、最も基本的なことが忘れられ、企業の内部を管理することが「事業の経営」であるかのような錯覚にとらわれている人びとが大部分である。

世にいわれる「経営学」なるものは、この錯覚にもとづく間違った思想と理論に満ち満ちている。そして、これが計り知れない害毒を社会に流し続けているのである。

事業経営の最高責任者である社長は、この妄説に惑わされることなく、事業に対する正しい認識― ‥事業の本質は市場活動である― ‐を持たなければならない。

この正しい認識を持たない限り、正しい事業の経営はできないのである。

正しい経営を行うためには、「間違った経営」ーつまり内部管理に焦点を合わせた経営をすると、会社はどうなってゆくのか、ということを知る必要がある。

間違った経営とは、「民主経営」である。そして、これから派生する「権限委譲」である。

これが、如何なる害毒を会社に及ぼし、事業をゆがめてゆくか、ということを、実例によって考えてみたいと思う。

そこにある経営者不在の恐ろしい姿を、まず知ってもらいたい、というのが私の切なる気持なのである。

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