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月別・部門別・得意先別への展開と社長の役割

目次

1. 月別売上目標への展開:現実的な感覚で計画する

販売計画の次のステップは、商品別販売目標を月別売上に展開することです。このとき重要なのは、売上高のみを扱えばよく、粗利益の詳細を考慮する必要はないという点です。

また、過去の月別売上比率から年商に対する平均比率を算出するといった「技術的手法」は不要です。むしろ、こうした形式論に振り回されるべきではなく、実務に即した、現実的な感覚による計画こそが重要です。

細かな数値よりも「この月は売れそう」「このあたりで調整しよう」といった感覚で12カ月を割り振り、最終的に年商と一致させれば十分です。

ポイント:社長の思考単位は「一年」であるべき。月々の数値が多少ズレても、年間目標の達成に集中すれば問題はありません。

2. 数値の扱いと展開手順

売上金額の取り扱いは、上位二桁を残し、万円以下を切り捨てて「零」とする形が適切です。月別売上が決定したら、その合計額を利益計画に転記し、次のフェーズへ進みます。

3. 部門別・地区別販売計画:販売方針に沿った合理的配分

部門別や地区別の計画では、以下の2パターンのいずれかを選択します:

  • 商品ごとに部門別の売上を割り振る方法
  • 売上総額だけを割り振る方法

後者は、商品が単一または類似しており、部門別配分の意義が薄い場合に有効です。

部門別販売計画ではまず全社の商品別目標を記入し、そこから売上比率(%)を先に計算して、比率に応じて金額を算出するという手順が合理的です。

実例:

商品Aの売上目標が2億5千万円の場合、これを基準に100とし、第一課15%・第二課60%・○○営業所25%といった比率で配分していきます。

最終的に、これら部門別の金額を利益計画に連動させて反映し、整合性を確保します。

4. 月別展開と整合性確保:計画はシンプルに

部門別の月別販売目標も、月別利益計画に連動させて算出します。各部門の計画が完成したら全社の月別利益計画へと統合し、さらに商品別の月次販売計画へと展開していきます。

この流れに従えば、各段階で整合性が保たれ、無理なく計画が組み上がります。

5. 得意先別販売計画:責任の所在を明確に

得意先別販売計画には、以下の2つのアプローチがあります:

  • 担当者別に総額を割り付け、その後得意先別に展開する方法
  • 先に得意先別に目標を設定し、それを担当者別に分類する方法

いずれでもよいのですが、必ず担当者別に責任ある目標を設定することが重要です。グループ制を導入して責任者を明確にする方法も有効です。

月別展開の「コツ」

  • 得意先別販売目標の合計が商品別月次計画と一致するように、まず商品別の月別目標を計画表に記入。
  • 次に月別売上の年商比率を算出し、各得意先の年間目標に掛け算する。
  • 最大得意先はこの時点では除外し、残りで月別配分。その差額を最大得意先に割り当てる。

6. 計画に必要なのは「方針」と「戦略」

販売計画とは単なる数値の寄せ集めではありません。それは、社長の戦略と意図を「可視化」するツールであり、どこを伸ばすか・どこを削るかという重点配分こそが要です。

過去実績の焼き直しや達成率主義ではなく、挑戦的な戦略の体現こそが計画の真意です。

7. 絶対にやってはならないこと:営業部門への丸投げ

最大の禁忌は、営業部門に売上目標や売上予測を提出させることです。これは計画の主導権を営業に譲り渡す行為であり、会社全体の方向性が曖昧になります。

営業部門に求めるのは「実績報告」のみであり、目標設定は社長の責任です。営業の意見は参考にしても、最終決定者は社長であるべきです。

8. 販売計画の基本構成(まとめ)

項目内容
商品別販売計画売上・粗利益(加工高)を商品ごとに設定
月別売上計画年間目標を月別に展開。季節変動考慮
部門別・地区別計画全社目標を基に部門・地区へ配分
得意先別販売計画担当者・得意先ごとに明確な目標を設定

9. まとめ:販売計画は社長の仕事である

販売計画は、会社の命運を左右する経営計画の「中核」です。これを営業任せにせず、社長自身が方針と戦略を持って立案することで、実効性と一貫性が生まれます。

計画とは、「こうありたい」という社長の決意の表明である。

数字に魂を吹き込み、現場の行動指針となるような計画を立てることが、真の経営者の責務なのです。

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