ビジネスモデルを考える上で、「見込事業」と「受注事業」という2つの視点は非常に重要です。これらは単なる販売手法の違いにとどまらず、資金繰り・在庫管理・マーケティング戦略・営業活動など、企業運営全体に影響を及ぼします。
今回はそれぞれの事業モデルの特徴と、どのように使い分けるべきかについて解説します。
目次
見込事業とは? 〜見込みで商品を作るビジネス〜
見込事業とは、あらかじめ市場の需要を予測して商品やサービスを開発・準備し、販売するスタイルです。D2CブランドやECビジネス、コンビニ商品のような日常的な消費財の多くは、この見込型の考え方で展開されています。
メリット
- スケーラブル:上手く軌道に乗れば大量生産・大量販売が可能。
- 自社主導で商品を企画・展開できる自由度が高い。
- ブランディングによってファンや継続顧客を育てやすい。
デメリット
- 需要予測に外れると在庫リスク・廃棄リスクが発生。
- 広告費やマーケティングコストが先行するため、立ち上げ初期は資金が必要。
- 在庫管理・販売計画の精度が経営に直結する。
受注事業とは? 〜注文を受けてから作るビジネス〜
一方、受注事業は、顧客からの具体的なオーダーを受けてから生産・提供を行うスタイルです。BtoBビジネスやオーダーメイド製品、受託開発などに多く見られます。
メリット
- 無駄な在庫が発生しない:必要な分だけを作るため、資源効率が良い。
- 顧客の要望に応じた高単価ビジネスが可能。
- 継続受注により安定した取引関係が築けることも。
デメリット
- スケールしにくい:案件ごとに個別対応が必要で、業務が属人化しやすい。
- 受注がなければ売上ゼロのリスク。
- 営業や関係構築など、人間関係や信頼構築が成功のカギとなる。
比較表で整理:見込型 vs 受注型
項目 | 見込事業 | 受注事業 |
---|---|---|
生産タイミング | 需要を見込んで先に生産 | 受注後に生産 |
主な対象顧客 | 消費者(BtoC) | 企業・法人(BtoB) |
リスク | 売れ残り・在庫 | 受注ゼロ・不安定な売上 |
マーケティング | 広告・販促活動が中心 | 営業・信頼構築が中心 |
成長性 | スケーラブル | 案件依存でスケールしにくい |
一例 | D2Cブランド、雑貨販売 | システム開発、OEM製造、建設業 |
どちらの事業モデルが自社に合っているか?
結論として、どちらが「良い」「悪い」ということではありません。自社の資源・強み・顧客層に応じて最適な選択が異なります。
- 資金や在庫管理に慎重なフェーズでは、受注事業からスタートし、徐々に見込事業へシフトするのが安全。
- ブランド力や商品開発力がある場合は、見込事業でのスケールを狙う戦略が有効。
また、最近では両者を組み合わせた「ハイブリッド型モデル」も注目されています。たとえば、受注型でニーズをつかみながら、見込型で自社商品として展開していくことで、収益の安定化と成長の両立を図ることが可能です。
まとめ
- 見込事業は「予測型」、マーケティングとスケーラビリティ重視。
- 受注事業は「オーダーメイド型」、信頼関係と受注力重視。
- どちらも正解であり、フェーズや戦略に応じた選択が重要。
自社ビジネスを成長させる上で、どちらの特性を活かすべきか、今一度見直してみてはいかがでしょうか?
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