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📖 引用原文(『ダンマパダ』第33章 第79偈)
熱心につとめ瞑想しているバラモンにとって、
これらの徳が現われるとき、
諸の感受作用の消滅に近づくとき、
かれの疑惑はすべて消え失せる。
🔍 用語解説
用語 | 意味・注釈 |
---|---|
熱心につとめ瞑想する | ひたむきに修行を重ね、心の観察と集中に励むこと。 |
バラモン | 血統による階級ではなく、自己を律し真理に達しようとする修行者。 |
これらの徳 | 慈悲・真実・自己制御・無執着など、人格的完成を意味する。 |
感受作用(ヴェーダナー) | 喜び・苦しみ・中立などの感覚的経験。仏教ではこれが執着の起点になる。 |
疑惑の消滅 | 真理への確信が得られた状態。迷い、ためらい、不安がなくなること。 |
🗣 全体の現代語訳(まとめ)
修行に励む者にとって、慈悲や智慧といった内面的な徳が現れ始めるとき、
彼は、すべての感覚的な「快・不快」への執着が消えていくのを感じる。
そのとき彼の心は、もはや「これは正しいのか」「これでいいのか」と
迷い悩むことはない。
なぜなら彼は、「反応する自己」そのものを超えているからである。
🧭 解釈と現代的意義
この偈は、「反応的な生き方から、内省的な自由への転換」を説いています。
感受作用(喜びや悲しみ)は、無意識のうちに私たちの判断や行動を支配します。
しかし、仏教はそれを「観察する」ことで、影響を断つことができると説きます。
感受に巻き込まれずにいると、心の迷い(疑惑)は次第に消えていき、
真理や本質を見極める智慧が自然に生じるのです。
🏢 ビジネスにおける解釈と応用
ビジネス領域 | 応用の視点 |
---|---|
意思決定 | 顧客の反応や市場の動きに対し、すぐに一喜一憂せず、長期視点で判断する態度が養われる。 |
リーダーシップ | 部下の評価や状況の変動に感情的に反応せず、冷静に対応できるマインドセットが育つ。 |
感情のマネジメント | 快・不快の波に左右されず、常に一定の思考と行動を保つことができるようになる。 |
💡 感興のことば:心得まとめ
「感受を超えて、確信に至れ」
感情は、真理の道を曇らせる霧にすぎない。
霧を晴らすには、反応を超え、観ることが必要だ。
観ることが深まれば、迷いは去る。
確信のある静寂が、そこに訪れる。
他の偈と同様に、この偈も「智慧と無執着による解放」をテーマにしています。
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