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煩悩なき心は、すでに岸を渡れり


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📖 引用原文(『ダンマパダ』第33章 第71偈)

「もしもバラモンが自分のつとめに関して彼岸に達した(=完全になった)ときには、真理を観ずるかれにとって、一切の煩悩の汚れは消滅するであろう。」
(『ダンマパダ』第33章 第71偈)


🔍 逐語訳・用語解説

用語解説
バラモン生まれによらず、真理を体得し、戒・定・慧に優れた清浄な修行者の象徴。
つとめ(業分)各人に課せられた義務・修行・真理への歩み。仏道における修行実践。
彼岸(パーラ)煩悩・迷い・生死を越えた悟りの境地。ニルヴァーナとも。
真理を観ずる無常・無我・縁起の真理を体得し、揺るぎない智慧を得た状態。
煩悩の汚れ(アスラヴァ)貪欲・瞋恚・愚痴・慢・疑など、心を曇らせる煩悩の諸相。

🗣 全体の現代語訳(まとめ)

バラモンが自らの務めにおいて完成し、迷いの世界を越えて「彼岸」へと達したとき、
その人は、真理を深く見抜く智慧を持ち、
もはや一切の煩悩――欲望、怒り、執着、傲慢など――によって
心が汚れることはない。

完全なる清浄、静寂の智慧に到達した人の姿が、ここに描かれる。


🧭 解釈と現代的意義

この偈は、「心の完成」がもたらす内なる清らかさの到達点を示しています。
ただ知識を得ただけではなく、「自らのつとめ=実践」を通してこそ、人は真に清らかになる――この視点は、現代にも鋭い示唆を与えます。

私たちもまた、社会的な役割や生活の中での「務め」に真摯に取り組む中で、心の在り方を磨いていきます。
外からの承認や報酬ではなく、内なる誠実と継続の先にこそ、煩悩からの自由があるという姿勢は、仏教的実践にとどまらず、あらゆる職業人に通じるものです。


🏢 ビジネスにおける解釈と適用

観点現代的応用
雑念・煩悩に揺れない判断成功・失敗・嫉妬・承認欲求などの「心のノイズ」を超えて、冷静に本質を見据えるリーダーシップ。
自己浄化型の成長他者との比較や競争から離れ、地道な自己改善と内省を重視する働き方。
成果に左右されない安定性成果が出ても驕らず、失敗しても動揺せず。真理=理念に基づいて動く人は、強い信頼を得る。
“彼岸”の仕事観短期的な成功に執着せず、長期的な意味や社会的価値を重視して行動するマインドセット。

💡 感興のことば:心得まとめ

「心の岸を渡りきる者、もはや惑わず、汚されず」

貪りも怒りも、驕りも迷いも――
それらは未完成な心の影にすぎない。

自らの務めに全身で向き合い、真理を見抜くに至った者は、
心の闇に影を落とされることがない。

静かに、そして確かに――
煩悩を捨てた人の眼差しは、誰よりも清らかで強い。


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