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📖 引用原文(『ダンマパダ』第33章 第69偈)
「もしもバラモンが自分のつとめに関して彼岸に達した(=完全になった)ときには、真理を観ずるかれにとって、一切の感受は消滅するであろう。」
(『ダンマパダ』第33章 第69偈)
🔍 逐語訳・用語解説
用語 | 解説 |
---|---|
バラモン | 出家修行者、あるいは精神的に高潔な行を積む者。血統ではなく、行為と悟りにより定義される。 |
自分のつとめ | 本来の生き方、道義的・宗教的な務め(ダルマ)を意味し、修行者として果たすべき実践。 |
彼岸 | 苦悩や煩悩の彼方にある悟りの境地(ニルヴァーナ)。 |
真理を観ずる | 現象の無常・苦・無我を洞察し、根本的な真理(ダルマ)に目覚めている状態。 |
感受(ヴェーダナー) | 感覚や感情によって生じる快・不快・中性の印象。仏教心理学において心を汚す要因の一つ。 |
🗣 全体の現代語訳(まとめ)
もしも真の修行者が、自らの修行と義務(ダルマ)を徹底的に果たし、悟りの境地に至ったとき、
その者は現象世界の喜怒哀楽――つまり、一切の感受作用すらも超えて静かである。
真理を直観したその人にとっては、世界はただありのままに見え、そこに一喜一憂する自我の反応(感受)は、自然と鎮まってしまうのです。
🧭 解釈と現代的意義
この偈は、心の「感受作用」が消えるという深い精神的達成について述べています。
一般の人は、快楽に執着し、不快に対して怒りや恐れを抱きます。
しかし、真理を見抜いた者にとっては、それらの感情の波はもはや意味を持ちません。
つまりこれは、「反応」から自由になる境地であり、苦楽や損得に振り回されることのない、静かな心の力を意味します。
🏢 ビジネスにおける解釈と適用
観点 | 応用内容 |
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感情マネジメント | 成果や評価への一喜一憂を手放し、「すべきこと」を果たす。そこに本当の安定と信頼が生まれる。 |
内的成熟 | 反応的に動くのではなく、状況を観察し、落ち着いた判断を行う習慣が、信頼あるリーダーを育てる。 |
ブレない軸の構築 | 環境や他者の評価に依存しない「自己の基準」を持つことが、長期的な成果と幸福につながる。 |
集中力と持続力 | 感情の波に飲まれない人は、持続的に集中し、深い創造性と結果を発揮できる。 |
💡 感興のことば:心得まとめ
「反応を超えて、観照の人となれ」
真理を見極める者にとっては、快・不快の感受はもはや力を持たない。
なすべきことを果たし、騒がしき心を鎮めたとき、
人は外界に揺れず、内側に深い平安を得るであろう。
感情に流されず、静かに果たせ、己の道を。
それが、現代における真のプロフェッショナルの姿である。
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