目次
📖 引用原文(『ダンマパダ』第33章「バラモン」第58偈)
紐と革帯と、超越し難い個人の連続を断ち切り、
門をとざす閂(かんぬき)を投げすてて、目覚めた人(ブッダ)、かれをわれは〈バラモン〉と呼ぶ。
🔍 逐語訳(意訳)
- 心と身体を結びつける「紐」や「革帯」、
- そして転生や業(カルマ)によって続く個人の流れという「連続性」――
- これらを断ち切り、
- 最後の障壁(閂)を取り払って、
- 真理に目覚めた者(ブッダ)こそ、
- 真の〈バラモン〉と呼ばれる。
🧘♂️ 用語解説
用語 | 解説 |
---|---|
紐と革帯 | 比喩的に、肉体的・精神的な「執着」や「束縛」を象徴する。 |
超越し難い個人の連続 | 「アッタ(自己)という錯覚」や、「カルマによる輪廻」の連鎖を指す。 |
門をとざす閂(かんぬき) | 解脱への最後の障壁。執着・無知などの心の障壁。 |
目覚めた人(ブッダ) | 完全な智慧と解脱を得た人。 |
🗣 全体の現代語訳(まとめ)
身体と心を縛りつけるすべての束縛――
そして「自分」という幻想を支える因果の連鎖。
それらを断ち切り、
内なる扉を閉ざしていた最後の閂までも捨て去って、
目覚めた人こそが、
真の意味での〈バラモン〉なのである。
🧭 解釈と現代的意義
この偈は、仏教が説く**「解脱(ニルヴァーナ)」とは、単なる善行を超えた**、徹底した束縛からの自由であることを明言しています。
形式的な修行を越え、「自己という錯覚」や「他人に対する執着」すら断ち切ること――それがブッダの境地であり、真の自由です。
🏢 ビジネスにおける解釈と適用
観点 | 応用・実践例 |
---|---|
執着の解消 | 過去の実績・役職・肩書などにとらわれず、新しい判断を下す力。 |
思考の枠の突破 | 既存の価値観や「成功の型」を捨て、本質に立ち返る柔軟性。 |
真の変革 | 表面的な改革ではなく、組織の「文化的バイアス」や「前提」すら見直す行動。 |
リーダーシップの完成 | 最後の執着(プライド・恐れ・損得)を捨てたとき、真の指導者が生まれる。 |
💡 感興のことば:心得まとめ
「最後の閂を外す時、あなたは自由になる」
肉体を縛るもの、心を縛るもの――
それらは目に見えぬ「紐」と「革帯」。自分を自分だと思わせる連続性、
執着の鎖、役割への固執。最後の閂――「恐れ」や「同調」すら、
投げ捨てた時、
人は真に目覚める。その者こそが、
世界の中で最も自由で、最も強い「バラモン」なのだ。
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