目次
📖 引用原文(『ダンマパダ』第33章「バラモン」第54偈)
つねにこだわりが無く、
智をそなえ、
疑惑を去り、
不死に達した人、かれをわれは〈バラモン〉と呼ぶ。
🔍 逐語訳(意訳)
- どのような事象にも執着せず、
- 深い智慧を備え、
- 真理に対する疑いをすべて捨て、
- 生死の輪廻を超えて「不死=涅槃」に到達した人――
その人こそ、真の〈バラモン〉である。
🧘♂️ 用語解説
用語 | 解説 |
---|---|
こだわり(執着:ウパーダーナ) | 物事への依存心や「わがもの意識」。苦しみの原因とされる。 |
智(パニャー) | 無常・苦・無我を洞察する智慧。真理に至るための力。 |
疑惑(ヴィチャイキッチャー) | 「八つの煩悩」の一つ。真理・仏法僧への不信。解脱を妨げる根源的障壁。 |
不死(アマタ) | 涅槃の別名。輪廻の死生を超えた「死なない状態」、永遠の安らぎ。 |
🗣 全体の現代語訳(まとめ)
何ものにも執着せず、
深い智慧を持って物事を見極め、
真理に疑いを抱くことなく、
ついには「死生を超えた安らぎ(涅槃)」に達した――
このような完成された人こそ、〈真のバラモン〉である。
🧭 解釈と現代的意義
この偈は、仏教的な理想像――内面からの解放者を指し示しています。
人はしばしば「これで良いのか」「自分は正しいのか」と悩み、選択や不安にとらわれます。しかしこの偈において理想とされるのは、すべてのこだわりと疑いを越え、「ただ在る」ことができる人物です。
それは「知識」ではなく「智慧」ゆえに可能となる境地です。
🏢 ビジネスにおける解釈と適用
観点 | 応用・実践例 |
---|---|
判断力と手放し | 過去の成功や常識にこだわらず、最善の選択を迷いなく下せる人物像。 |
内的安定性 | 不確実な時代でも動じず、揺るぎない判断基準をもつリーダーシップ。 |
疑いを超えた信頼 | 自他を疑い続けるのではなく、信念と透明性で道を切り開く姿勢。 |
成熟した意思決定 | 感情的な執着や私利を離れ、組織全体の最善を思考するプロフェッショナリズム。 |
💡 感興のことば:心得まとめ
「手放す者が、最も深く見通す」
欲しがらず、こだわらず、
疑わずに、静かに観る――外の動きに惑わされることなく、
内なる智慧とともに、
真の安らぎへと至る者、
その人こそが、真の導き手である。
この第54偈は、「完全な精神的自由」を体現するメッセージとして、現代社会の「混沌と迷い」に対する解毒剤とも言える教えです。
コメント