目次
📖 引用原文(『ダンマパダ』第33章「バラモン」第44偈)
〈快楽〉と〈不快〉とを捨て、
清らかに涼しく、とらわれることなく、
全世界にうち勝った賢者、かれをわれは〈バラモン〉と呼ぶ。
🔍 逐語訳(意訳)
- 快い感覚や不快な感覚の両方を捨て去り、
- 清らかで、涼やかな心をもち、
- 一切にとらわれることがなく、
- 欲・怒り・無知といった煩悩の世界を完全に乗り越えた賢明な人――
その人を、仏陀は〈バラモン〉と呼ぶ。
🧘♂️ 用語解説
用語 | 解説 |
---|---|
快楽(スカ)・不快(ドゥッカ) | 五感や心に生じる心地よさ・不快さ。これに執着することが苦の原因となる。 |
捨てる(パヒナ) | 執着せずに手放す。否定や抑圧ではなく、見抜いて超越すること。 |
涼しい(シータ) | 涅槃の形容として使われる語。煩悩の熱から解放された安らかな状態。 |
世界に打ち勝つ(ジャイ) | 外的な世界というよりも、内なる煩悩の世界を制した者を意味する。 |
🗣 全体の現代語訳(まとめ)
快いことにも、苦しいことにもとらわれず、
内なる平安と清浄さを保ち、
熱に浮かされずに涼やかな心で、
一切の執着を捨て、
この世のあらゆる煩悩に打ち勝った賢者――
その人を、仏陀は〈バラモン〉と呼ぶ。
🧭 解釈と現代的意義
この偈は、「感情の二極に引きずられないこと」が精神的成熟の鍵であることを教えています。
喜びに酔い、苦しみに沈むのではなく、その両方を超えた静謐な心――それが“涼しさ”として象徴されます。
現代社会において、感情の波に翻弄されやすい私たちにとって、このような涼やかな智慧は極めて実践的で重要です。
🏢 ビジネスにおける解釈と適用
観点 | 応用・実践例 |
---|---|
感情コントロール | 怒りや喜びに振り回されず、安定した判断力を維持するマインド。 |
成果と失敗の超越 | 成功への高揚や失敗への落胆から離れ、持続可能な精神状態を保つ。 |
ブレないリーダーシップ | 社内の期待や批判に過剰に反応せず、長期的な価値に集中するリーダー。 |
“熱狂”より“冷静” | トレンドやブームに乗るより、静かに道を歩むことで真の実力が育つ。 |
💡 感興のことば:心得まとめ
「熱に浮かされず、静かに歩め」
快楽に酔いしれず、苦痛に沈まず、
ただ清らかに、静かに、涼やかに生きる。
それは、勝った者の姿であり、
真の完成者〈バラモン〉の在り方である。
コメント