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📖 引用原文(『ダンマパダ』第33章「バラモン」第42偈)
現世に対しても、来世に対しても、
妄執が存在せず、
妄執の生存が尽きて滅びてしまった人、かれをわれは〈バラモン〉と呼ぶ。
🔍 逐語訳(意訳)
- 現世の事柄(地位・財産・人間関係など)にも、
- 来世の希望(天界、よい生まれ変わりなど)にも、
- 一切の執着を持たず、
- そのような欲望をもとにした生存が、完全に終わっている――
その人を仏陀は〈バラモン〉と呼ぶ。
🧘♂️ 用語解説
用語 | 解説 |
---|---|
現世(イーハローカ) | 現在生きているこの世。欲望・業・報いが作用する世界。 |
来世(パローローカ) | 死後の世界。仏教では天界・人間界・地獄などを含む六道輪廻の一部。 |
妄執(アビニヴェーサ) | 自我や欲望に基づくしがみつき、手放せない執着。 |
妄執の生存(ウパーダーナ・バーヴァ) | 執着によって続く存在=輪廻の継続。業による再生の原動力。 |
🗣 全体の現代語訳(まとめ)
この世の物事にも、
来世の幸福にも、
一切とらわれず、
すでに執着による生存そのものが完全に断ち切られている――
その人を、仏陀は〈バラモン〉と呼ぶ。
🧭 解釈と現代的意義
この偈は、「過去にも未来にも執着せず、今をあるがままに生きる」という時間的な超越を意味しています。
執着とは、未来への期待や不安、過去へのこだわりによって生まれる苦しみの根源です。
ここで説かれる「妄執の消滅」とは、単なる無関心ではなく、あらゆる期待や不安を超越した、澄んだ心の自由を指します。
🏢 ビジネスにおける解釈と適用
観点 | 応用・実践例 |
---|---|
結果にとらわれない実行 | 売上や評価への執着を手放し、プロセスと使命に集中する働き方。 |
過去や未来に支配されない判断力 | 昔の成功体験や将来の不安にとらわれず、「今ここ」で最良の選択を下す。 |
感情的な執着からの自由 | 人間関係・肩書・失敗へのこだわりを手放すことで、しなやかに行動できる。 |
変化に対する柔軟性 | 状況がどう変わっても、自分の価値観と行動軸を保ち、動じない安定性。 |
💡 感興のことば:心得まとめ
「過去にも未来にも、もう縛られない」
この世の富にも、来世の幸福にも、
とらわれることなく、求めることもなく、
ただ、静かに、穏やかに、
自由な心で生きる――
それが仏陀の説く〈バラモン〉、すなわち完成者である。
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