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📖 引用原文(『ダンマパダ』第33章「バラモン」第32偈)
静かに思い、塵垢なく、
為すべきことをなしとげ、
汚れが無く、煩悩を去り、
とらわれの無い人、かれをわれは〈バラモン〉と呼ぶ。
🔍 逐語訳(意訳)
- 静かに思索し、
- 心に塵や垢(=煩悩の汚れ)を持たず、
- やるべきことを果たし、
- 汚れや欲望を断ち、
- 執着という束縛からも離れている人――
その人を仏陀は〈バラモン〉と呼ぶ。
🧘♂️ 用語解説
用語 | 解説 |
---|---|
静かに思い(サンタチェータ) | 動揺せず、深く静かな心の状態。瞑想の安定を示す。 |
塵垢(ラジャ・マラ) | 煩悩・妄念・欲望など、心を曇らせるあらゆる汚れ。 |
為すべきこと(カッタヴァ) | 宿命的な義務、倫理的行為。人としてなすべき責務の完成。 |
煩悩(クレーシャ) | 欲・怒り・愚かさなど、輪廻の原因となる心の働き。 |
とらわれ(ウパーダーナ) | 執着。対象や結果に心がしがみつくこと。 |
🗣 全体の現代語訳(まとめ)
外面的には静かであり、
内面には一点の曇りもなく、
人として果たすべき務めをきちんと果たし、
心の汚れを捨て去り、煩悩を離れ、
何ものにも執着していない――
そんな人こそ、仏陀が説く〈バラモン〉である。
🧭 解釈と現代的意義
この偈は、「理想的な人格完成のバランス」を示しています。
- 思索(静寂)
- 清浄(無汚染)
- 行為(責任)
- 離執(自由)
――という4つの柱が同時に求められているのです。
つまり、ただ離れた者ではなく、「やるべきことを為したうえで清らかに離れた人」。
この態度は、現代においても極めて成熟した人間像といえるでしょう。
🏢 ビジネスにおける解釈と適用
観点 | 応用・実践例 |
---|---|
落ち着いた判断力 | 焦りや感情に動かされず、静かな心で本質を見るリーダーシップ。 |
汚れなき行動 | 私利私欲や損得ではなく、誠実に「やるべきこと」を貫く姿勢。 |
成果への非執着 | 成果や称賛にとらわれず、責任を果たしたら手放す潔さ。 |
成熟した自立 | 依存や欲望ではなく、自らの良心と原理に基づいて動く人物が信頼を集める。 |
💡 感興のことば:心得まとめ
「なすべきことをなし、何ものにも染まらぬ」
静けさの中に力があり、
無執着の中に完成がある。
仏陀は、責任を果たしてなお汚れず、
心を清らかにして自由である人を、
〈バラモン〉と呼ぶのである。
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