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いずこにも属さず、満ち足りて歩む者


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📖 引用原文(『ダンマパダ』第33章「バラモン」第20偈)

在家の人々と交わらず、
出家の人々と交わらず、
定まった住まいを持たずに遍歴し、
わずかなもので満ち足りている者――

私はその人を〈バラモン〉と呼ぶ。
――『ダンマパダ』第33章 第20偈


🔍 逐語訳(意訳)

世俗の人々とも、修行僧たちとも特別に親しく交わらず、
特定の場所や集団に執着せず、
住処を持たずに自由に歩み、
持ち物や環境に多くを求めず、少ないもので満足している――
このような自立と満足の境地にある人こそが、真のバラモンである。


🧘‍♂️ 用語解説

  • 在家者(グリハパティ):家庭を持ち、社会生活に従事する人々。
  • 出家者(サマナ/比丘):宗教的生活を送り、戒律に従う修行者。
  • 交らず(アサンナ):依存せず、執着せず、特定のグループに囚われないこと。
  • 住家なくして(アナーレーナ):定住に執着せず、精神的にも物理的にも「自由である」こと。
  • 遍歴(チャーリヤー):移動しながら生きる修行生活。放浪ではなく「自由な自己実現の象徴」。
  • 満足(サントゥッティ):少ないもので満ち足り、求めず、喜びを内側から得ていること。

🗣 全体の現代語訳(まとめ)

世間に染まることもなく、
また、宗教的立場や修行集団にもとらわれず、
どこかに「属する」ことを求めることなく、
物理的にも精神的にも自由に歩み、
わずかなものに満足している――
そのような人こそ、仏陀が説く〈バラモン〉=精神的自由人である。


🧭 解釈と現代的意義

この偈は、外の世界に「居場所」を求めない生き方、すなわち「どこにも属さず、何にも縛られず、内なる満足で生きる自由人」の姿を讃えています。

仏教は、所属や肩書、家族・組織などに対する執着もまた「束縛」であると見ます。
この偈は、「完全に自分の内側から満ちている人」こそが、最も強く、最も自由であると教えているのです。


🏢 ビジネスにおける解釈と適用

観点応用・実践例
過度な帰属意識の超越組織や立場への過剰な依存を避け、「何者かである」ことにとらわれず、使命と信念で動く姿勢が重要。
所有への執着を手放すモノ・称号・ポストを「持たなくても揺るがない自分」であることが、真の自立につながる。
少ないもので満足する力物理的充足よりも、心の平穏・意味ある働きに重きを置くことで、持続的な幸福と集中力が生まれる。
しがらみからの自由内部政治・派閥・社交的義務に振り回されず、独立した判断軸で動ける人が結果的にリーダーシップを持つ。

💡 感興のことば:心得まとめ

「何ものにも属さず、満ち足りて歩む者こそ、真に自由である」

所属でも、物でも、名声でもなく――
自己の中に静かな満足を得た人こそ、
真に独立し、尊く、自由な存在
である。
仏陀はそのような人を「バラモン」と呼んだ。

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