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📖 引用原文(『ダンマパダ』第33章「バラモン」第17偈)
粗野な言葉を用いず、
常に明確で真実を伝える言葉を語り、
その言葉によって、
誰の心も傷つけることがない人――私は、その人を〈バラモン〉と呼ぶ。
――『ダンマパダ』第33章 第17偈
🔍 逐語訳(意訳)
乱暴な言葉を用いず、
真理にかなった明晰な表現を心がけ、
そしてその言葉が、
誰かの心を痛めることも、不快にすることもない――
そのように言葉を扱える人こそ、真に高貴な「バラモン」である。
🧘♂️ 用語解説
- 粗野(ルックハ):乱暴、攻撃的、荒々しい語調や態度。怒り・見下し・無礼などを含む。
- はっきりと伝える(スパティカー):明確で曇りのない、事実に即した伝達。誠実で簡明。
- 害する(パリターペティ):相手の心を傷つけたり、不安や怒りを引き起こすような言葉・言い方。
- 常に発する(ニチャン・バンナティ):習慣としての言葉の使い方。単発ではなく「日常的な態度」。
🗣 全体の現代語訳(まとめ)
その人の言葉は、乱暴でもなく、
相手を攻撃したり不快にさせるものでもない。
それは常に明快で、必要なことを誠実に、わかりやすく伝えるものである。
そのような言葉を日常的に用いる人こそが、精神的に完成されたバラモンである。
🧭 解釈と現代的意義
この偈は、「発言の内容」だけでなく「発言の仕方」にまで注意を払うよう説いています。
仏教では「正語(しょうご)」=八正道の一つとして、「真実であり、優しく、益をもたらす言葉」が重要視されます。
現代においても、SNS・ビジネスメール・会議など、言葉の扱いが人間関係と信頼を左右する時代にあって、この偈は非常に実用的で普遍的な教えです。
🏢 ビジネスにおける解釈と適用
観点 | 応用・実践例 |
---|---|
丁寧なコミュニケーション | クレーム対応や意見の対立時でも、感情的な言葉を避けて冷静に事実を伝える力が評価される。 |
明瞭で思いやりのある説明 | 指示や説明がわかりやすく、相手に圧をかけずに伝える人は、周囲から頼られる。 |
感情を傷つけない配慮 | 冗談、皮肉、否定の仕方など、相手の感情に配慮した発言が信頼を築く。 |
一貫した言葉の姿勢 | 上司の前では丁寧でも部下に荒い言葉を使う人は信頼を失う。常に安定した言葉づかいが人格の証。 |
💡 感興のことば:心得まとめ
「語る内容だけでなく、語る心もまた、人格を映す鏡である」
真実を語るのは大切だが、
その語り方が人を癒し、安心させ、前に進ませるものであるなら、
その言葉には力がある。
仏陀は、心を傷つけず、明晰で優しい言葉を発する人こそ、
真に尊い存在であると教えている。
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