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📖 引用原文(『ダンマパダ』第33章「バラモン」第12偈)
すべての悪を離れ、
常に注意深く行動している者――
束縛(サンヨージャナ)を断ち切ったその人たちは、
**覚者(ブッダ)**であり、
そのような人々こそが「バラモン」と説かれている。
――『ダンマパダ』第33章 第12偈
🔍 逐語訳(意訳)
諸々の悪を完全に断ち、
常に気をつけて、意識を失わずに行動している人々――
彼らは、あらゆる束縛(煩悩や輪廻の絆)を断ち切った「目覚めた者(ブッダ)」であり、
そのような存在こそ、真に「バラモン(尊ぶべき存在)」であると説かれる。
🧘♂️ 用語解説
- 悪いことがら(パーパカ・ダンマ):心・言葉・行動における不善な行為。貪・瞋・癡など。
- 常に気をつけて(サティマー):念(サティ)を保ち、油断なく行動すること。仏教実践の核心。
- 束縛の絆(サンヨージャナ):煩悩や執着によって輪廻に縛られる根本因。十結(じっけつ)など。
- ブッダ(覚者):真理に目覚め、解脱を得た人。仏陀(歴史的釈迦)に限らず、悟りに達した存在全般を含む。
- バラモン:精神的完成者。世俗的階級とは無関係の、浄らかで尊い人間像。
🗣 全体の現代語訳(まとめ)
日々の生活の中で、あらゆる悪から距離を置き、
油断せず、目覚めた意識で行動している人々――
彼らは、煩悩の鎖を断ち切り、真理に目覚めた「ブッダ(覚者)」であり、
そのような存在がこそ、真の「バラモン」であると仏陀は説いている。
🧭 解釈と現代的意義
この偈は、仏教の理想像を「悪を離れ、気づきと自律を持って生きる人」として定義しています。
悟りとは突然訪れるものではなく、日々の悪からの離脱と、意識的な行動の積み重ねによって到達されるものです。
つまり、形式や立場ではなく、生き方の質と心のあり方がその人を覚者たらしめる、という極めて倫理的な視点が貫かれています。
🏢 ビジネスにおける解釈と適用
観点 | 応用・実践例 |
---|---|
悪への無自覚を避ける | ルール違反や不正だけでなく、小さな不誠実や横柄な態度も排除し、浄化された組織文化を育む。 |
常に自覚的に動く人 | 意識して判断し、行動する人が組織の信頼を支える。気づきと配慮があるリーダーは尊敬される。 |
「束縛」を断つ意識 | 評価、地位、収益への執着に支配されず、使命と誠実に基づいて判断する覚悟が成熟を生む。 |
成功より気づきの深さ | 真のプロフェッショナルとは、技術以上に「誤りに気づき、それを手放せる」人である。 |
💡 感興のことば:心得まとめ
「悟りとは、一瞬の奇跡ではない。
悪を離れ、日々目覚めて生きる人が、すでに覚者なのだ。」
仏陀は、誰もがその生き方によってブッダ(目覚めた者)になれることを教えている。
悪を避け、油断せず、正しく歩む――
この実践のなかにこそ、人間の完成がある。
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