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📖 引用原文(『ダンマパダ』第33章「バラモン」第11偈)
人は水によって清らかになるのではない。
多くの人々がここで沐浴をしている。
しかし、真実と理法とを守る人――
その人こそ、清らかであり、真のバラモンである。
――『ダンマパダ』第33章 第11偈
🔍 逐語訳(意訳)
人が清らかになるのは、水に身体を浸すことによってではない。
ここには多くの人々が川で沐浴をして清浄を得ようとしているが、
本当に清らかなのは、真実を語り、正しい法に従って生きる人である。
その人こそが、真の意味で〈バラモン〉と呼ばれるにふさわしい。
🧘♂️ 用語解説
- 水による清め(沐浴):インド宗教における伝統的な清浄儀礼。聖なる川(例:ガンジス河)での水浴が霊的な穢れを落とすと信じられていた。
- 真実(サッチャ):偽りのない言動。自己にも他者にも誠実であること。
- 理法(ダンマ):宇宙の真理・仏教の教え・道徳的原理を含む包括的な「正しき道」。
- バラモン:精神的に完成された清らかな人。世俗の階級に依らない仏教的理想像。
🗣 全体の現代語訳(まとめ)
聖なる川に身を浸すことで人は清らかになる、という信仰がある。
だが仏陀はそれを否定する。
水によってではなく、真実を語り、理にかなった行動をとる人こそ、真に清らかである。
それが、形式にとらわれない仏教の倫理的核心である。
🧭 解釈と現代的意義
この偈は、形式的な儀式や慣習に依存する清めの概念に対し、倫理的実践の優位性を明確に打ち出しています。
現代でも、「謝ったからいい」「形だけ守ればよい」といった表面的な対応がまかり通る場面が見られますが、仏陀はそうした**外面的な“清め”**ではなく、内なる誠実さと行為の正しさによって人は本当に清らかになると説いています。
🏢 ビジネスにおける解釈と適用
観点 | 応用・実践例 |
---|---|
儀礼より本質 | 形式的な謝罪や報告ではなく、誠実な対応と根本原因の解消が信頼回復の鍵。 |
ルール順守より倫理実践 | 就業規則を守っていても、誠実さや正義を欠けば評価されない。 |
表面の清潔感より心のクリーンさ | 礼儀正しい態度よりも、誠意と行動の一貫性が信頼を築く。 |
文化づくりにおける透明性 | クリーンな企業文化は「形式の徹底」ではなく「誠実な姿勢」の積み重ねで育まれる。 |
💡 感興のことば:心得まとめ
「水に浸すより、心を磨け」
外の汚れは水で洗える。
だが、心の穢れは真実と正しさによってのみ清められる。
仏陀は、誠実な生き方こそが人を真に尊い存在にすると教えている。
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