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憎しみの炎を超えて、心は平和の岸に至る


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📜引用原文(日本語訳)

第六十九偈
大きな激流が極めて弱い葦の堤を壊すように、
憎しみをすっかり断ち切ってしまった修行僧は、
こなたの岸を捨て去る。
蛇が脱皮して旧い皮を捨て去るようなものである。
― 『ダンマパダ』 第二章 第六十九偈


🔍逐語訳と意図

  • 「大きな激流」:心を揺るがす強烈な感情。ここでは「怒り」や「恨み」。
  • 「葦の堤」:薄弱な忍耐心や不完全な慈悲心。感情の波に耐えきれない。
  • 「憎しみを断ち切った修行僧」:怒りの連鎖から解放された人。内面が平穏。
  • 「蛇の脱皮」:新しい自己への変化。古い感情の殻を捨てた悟りの象徴。

📚用語解説

用語解説
憎しみ(瞋、ドーサ)自己防衛・否定感情に由来する心の毒。怒り、恨み、嫉妬を含む。
こなたの岸迷いと執着のある「この世」。輪廻・煩悩の世界。
修行僧(比丘)自らを律し、解脱を目指す実践者。
脱皮自我の執着や煩悩を捨てて、より高次の存在状態に至る比喩。

🪞全体の現代語訳(まとめ)

怒りは時に、自分の心も他人の心も破壊する激流のようだ。
それを「抑える」だけでは、弱い葦の堤のようにすぐに崩れてしまう。

真の修行僧は、怒りという感情の根源を見極め、
それを完全に断ち切ることで、
煩悩の岸を超えていく。
蛇が古い皮を脱ぎ捨てるように、
古い「怒りに囚われた自己」を脱ぎ捨てていくのだ。


🧠解釈と現代的意義

憎しみは、過去の記憶や傷ついた自尊心に根ざす強い毒です。
この偈は、それを抑えるのではなく、断ち切ることが真の自由であると説いています。

現代でも、SNSや職場、家庭などで怒りや衝突が絶えないなか、
この教えは「反応しない心」「根から断つ智慧」の重要性を示しています。
怒りを鎮めるだけでなく、「怒る必要がない」という認識に至る――
それが真の修行であり、心の自由です。


💼ビジネスにおける解釈と適用

観点応用例
感情マネジメント上司や顧客に対する怒りにとらわれることなく、冷静に本質を見て動く力が求められる。
対人関係相手の言動に心を乱されず、「自分の中の反応」を観察し、手放す訓練が効果的。
リーダーシップ怒りを手放せるリーダーは、周囲の感情の波にも安定して対応できる信頼の核となる。
持続可能な意思決定感情による瞬間的判断ではなく、怒りを昇華したあとに下す決断が長期的に成果を生む。

✅心得まとめ

「怒りは放つべきではなく、見つめて超えるべきものである」

抑え込まれた怒りは、必ず別のかたちで表面化する。
それを「無くそう」とあらがうのではなく、
「なぜ怒るのか」「何にとらわれているのか」を知ることで、
人は怒りから自由になる。

古い怒りを手放したとき、
あなたの心には、蛇が脱皮したような静寂と新しい自由が訪れる。


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