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誇りを手放す者は、軽やかに彼岸へ至る


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📜引用原文(日本語訳)

第六十五偈
蛇の毒が(身体に)ひろがるのを薬でとめるように、
慢心が起ったのをとめる修行僧は、
こなたの岸を捨て去る。
蛇が脱皮して旧い皮を捨て去るようなものである。
― 『ダンマパダ』 第二章 第六十五偈


🔍逐語訳(意訳)

  • 蛇の毒がひろがるのを薬でとめるように
     致命的な影響を持つ毒(ここでは慢心)が体を蝕む前に、薬(ここでは内省と智慧)で制御するたとえ。
  • 慢心が起ったのをとめる修行僧は
     自らの優越感・うぬぼれ・傲慢さに気づき、それを制御できる者。
  • こなたの岸を捨て去る
     迷いや執着の世界(現世的生存)を超え、涅槃の境地へ向かう。
  • 蛇が脱皮して旧い皮を捨て去るようなもの
     古い自己イメージや虚栄心を脱ぎ捨て、新たに生まれ変わる姿を象徴する。

📚用語解説

用語意味
慢心(マーナ)「自分が他より優れている」「劣っていない」と思い上がる心の作用。仏教では最も見抜きにくく、強力な煩悩の一つ。
こなたの岸迷い・執着・煩悩にとらわれた俗世的な存在。
自覚・反省・智慧・謙虚さ。

🪞全体の現代語訳(まとめ)

自分の中に「他者よりも優れている」と思う心が起きたとき、
そのままにしておけば、それは内面を静かに蝕み始める。

しかし、それに気づいて制し、
自分の慢心を断った者は、

もはや迷いの岸にとどまることなく、
蛇が脱皮するように、
新たな心で涅槃に向かって進んでいく。


🧠解釈と現代的意義

この偈は、**「成功した後に訪れる最も危険な敵は“自分のうぬぼれ”である」**ことを教えてくれます。
「怒り」や「欲望」は比較的気づきやすい煩悩ですが、「慢心」はしばしば美徳の仮面をかぶってやってきます。

たとえば:

  • 経験が増すことで、意見に耳を貸さなくなる
  • 謙虚さを保っている「つもり」になる
  • 成果や地位に依存して自己価値を測る

そうした心の動きにこそ、日々静かに「気づく」ことが求められます。


💼ビジネスにおける解釈と適用

観点応用例
リーダーシップの罠成果や役職を得るほど、自分の意見が絶対だと錯覚しやすい。部下の声を聴き、立ち止まる勇気が必要。
成長を妨げる要因学びを止めるのは、「もうわかっている」という慢心。常に初心に還る姿勢が、本当のプロフェッショナル。
チーム運営他人のミスを批判し、自分の貢献を誇示する文化では信頼関係は築けない。
評価と執着の分離周囲の評価に依存しない自己評価が、「慢」の芽を摘む。

✅心得まとめ

「うぬぼれは静かに心を蝕む毒である」

真の強さとは、
傲慢にならず、
すでに得たものに執着せず、
日々心を磨きつづけること。

あなたが脱ぎ捨てるべきものは、
「昔の栄光」かもしれないし、
「過剰な自己肯定」かもしれない。

慢心を手放したとき、
あなたは本当の自分として、再び歩き出す。

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