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愛執を超えて、心は本来の岸へ還る


目次

📜引用原文(日本語訳)

第六十一偈
池に生える華をば、水にもぐって折り取るように、
すっかり愛執を断ってしまった人は、
こなたの岸を捨て去る。
蛇が古い皮を脱皮して捨て去るようなものである。
― 『ダンマパダ』 第二章 第六十一偈


🔍逐語訳(文ごとの意訳)

  • 池に生える華をば、水にもぐって折り取るように
     静かに、しかし深く内面を見つめ、愛執の根を見出して切り取る姿勢を表している。
  • すっかり愛執を断ってしまった人は
     人間関係や物への愛着を手放し、依存を超えた存在となった人。
  • こなたの岸を捨て去る
     現世的な執着や感情にとらわれた生の地平(此岸)を超えて、悟りの世界(彼岸)に至る。
  • 蛇が古い皮を脱皮して捨て去るようなもの
     古い価値観や束縛から自由になり、新しい境地に生まれ変わること。

📚用語解説

用語解説
愛執(アーニャ)「愛着」や「執着」を意味し、他者や物事に依存して心を乱す原因。仏教における苦の源。
こなたの岸煩悩に覆われたこの世=迷いの生存。
脱皮する蛇変化と成長の比喩。古い自我を脱ぎ捨てて、軽やかに進化する姿を象徴。

🪞全体の現代語訳(まとめ)

華を摘むように、
心の奥深くにある「愛執」という根を見つめ、
それを静かに断ち切ることができた人は、

もう「この世」に執着せず、
まるで蛇が皮を脱ぎ捨てるように、
新たな存在となって、
悟りの世界に歩み出す。


🧠解釈と現代的意義

この偈は、
「愛すること」そのものを否定しているのではありません。
問題は、そこに執着が生まれることです。

執着がある限り、
期待が生まれ、
期待が裏切られることで、
怒りや悲しみが生まれる。

「愛すること」と「依存すること」は似て非なるもの。
真の愛は、所有やコントロールを求めず、相手の自由を祝福するもの。

この偈は、そうした愛に潜む執着性を見抜き、それを超えることで心の解放を得るよう導いています。


💼ビジネスにおける解釈と適用

観点応用例
人間関係の健全化特定の部下・上司・顧客に対する執着が判断を曇らせる。公平に接し、愛執を手放す姿勢が必要。
依存の排除一つの成果・会社・役職に固執せず、変化を受け入れることで柔軟性が増す。
リーダーシップ自分の「やり方」への執着を捨てて、チームの成長を信じて見守る姿勢が、成熟したリーダーの証。
評価への執着を断つ他者の評価や承認に依存せず、内なる動機で働くことで、より深い満足と自律性が得られる。

✅心得まとめ

「愛するなら、手放す覚悟で」

愛とは、束縛することではなく、
相手を見守りながら自分も自由になること。

執着を脱ぎ捨てたとき、
あなたの心は、本来あるべき場所――「安らぎ」へと還っていく。

それは、
蛇が皮を脱ぐような軽やかさ、
再生のしるしである。


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