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迷いを抜けて、光に還れ


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📜引用原文(日本語訳)

第五十八偈
池に生える華をば、水にもぐって折り取るように、
すっかり迷妄を断ってしまった人は、
こなたの岸を捨て去る。
蛇が古い皮を脱皮して捨て去るようなものである。
― 『ダンマパダ』 第二章 第五十八偈


🔍逐語訳(文ごとの意訳)

  • 池に生える華をば、水にもぐって折り取るように
     煩悩の深い水の底にある迷いの根を、智慧をもって見つけ出し、摘み取る。
  • すっかり迷妄を断ってしまった人は
     無知・錯覚・誤った見解を完全に克服した修行者。
  • こなたの岸を捨て去る
     現象世界(サンサーラ)の束縛を離れ、彼岸(涅槃)に至る。
  • 蛇が古い皮を脱皮して捨て去るようなものである
     かつての無明に包まれた自己を脱ぎ捨て、真理に生きる新たな存在になること。

📚用語解説

用語解説
迷妄(無明:アヴィッジャー)根本的無知。仏教において最も深い煩悩であり、すべての苦しみの出発点。
華を折り取る慈悲と智慧による煩悩の克服。
こなたの岸通常の存在世界。五蘊・六根に縛られた執着と迷いの場。
彼岸(涅槃)執着・迷い・苦しみから完全に解放された安らぎの状態。

🪞全体の現代語訳(まとめ)

池の深みに咲く華を摘み取るように、
智慧の力で心の底に巣くう「迷妄」を断ち切った修行者は、
この現象世界への執着を脱ぎ捨て、
静かなる境地(彼岸)へと至る。

それはちょうど、
蛇が古びた皮を脱ぎ捨てて、
新たな命の形へと進むようなものである。


🧠解釈と現代的意義

「迷妄(無明)」とは、
世界や自分の本質を正しく理解できず、
欲や怒りや慢心に振り回される心の状態を意味します。

この偈は言います。

「外界の明るさではなく、内なる智慧によってこそ、光が訪れる」

迷いを断ち切るとは、
外の知識を集めることではなく、
自らの無知に気づき、それを静かに照らしていく行為

脱皮のように、
少しずつ、けれど確実に、
古い自我・執着・幻想を手放していく旅なのです。


💼ビジネスにおける解釈と適用

観点応用例
意思決定の明晰化「思い込み」や「慣習」に惑わされず、現実を正しく観る洞察力が重要。
リーダーの脱皮経験や役職に固執せず、変化と学びによって新たな価値を生み出す姿勢が求められる。
組織の成長迷妄(前例主義・慣性)を断ち、ビジョンと本質に立ち返ることで進化が起きる。
内省の力内側の「なぜこの選択をするのか」という問いに向き合うことが、自己改革を生む。

✅心得まとめ

「無知を照らし、迷いを脱げ」

人は、知っているようで知らない。
見えているようで見えていない。

華を摘むように、そっと内なる迷いを摘み取りなさい。

古い皮を脱ぐたびに、
あなたの中の「真実」は、少しずつ輝き出す。


この偈は、自己変革において最も深いステージ――**「自己の誤認からの解放」**に焦点を当てています。

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