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旧き皮を脱ぎ捨てよ――虚妄の世から自由へ


目次

📜引用原文(日本語訳)

第五十五偈
そしることもなく、疑うこともなく、
この世はすべて虚妄であると知って、
修行僧はこなたの岸を捨て去る。
蛇が旧い皮を脱皮して捨て去るようなものである。
― 『ダンマパダ』 第二章 第五十五偈


🔍逐語訳(文ごとの意訳)

  • そしることもなく:他人を責めたり中傷したりしない。
  • 疑うこともなく:真理や教えに対する懐疑を捨て去っている。
  • この世はすべて虚妄であると知って:現象世界の本質は無常であり、本質的な実体がないことを見抜いている。
  • 修行僧はこなたの岸を捨て去る:現世への執着や自己の限界を超えて、涅槃の境地へと渡っていく。
  • 蛇が旧い皮を脱皮して捨て去るようなもの:煩悩や妄執を脱ぎ捨て、軽やかに新しい境地に進む比喩。

📚用語解説

用語意味
そしる(誹謗)他人の欠点を責める、批判する心。煩悩の一種。
疑うこと(疑惑)正しい道に対する疑念。修行の障害となる。
虚妄(けもう)実体がなく、仮の存在であること。諸行無常・諸法無我の仏教的理解。
こなたの岸この世・現象界の執着対象。

🪞全体の現代語訳(まとめ)

修行僧は、
他人を責めることもなく、
真理に疑いを抱くこともなくなり、
この世のすべてがはかない幻のようなものであると悟ったとき、
現世への執着を完全に手放す。
それはまるで、蛇が古い皮を脱いで新しく生まれ変わるような姿である。


🧠解釈と現代的意義

この偈は、批判と疑念という心の重荷を捨てることの大切さを説いています。
人はよく、「あの人が悪い」「これが正しいのか分からない」といった感情に振り回されがちです。

しかし仏教は、こうした心の態度自体が「無明(無知)」と「執着」の表れであり、
真の自由への妨げであると教えます。

  • 他者への批判(そしり)も
  • 教えへの疑い(疑念)も

すべて、自己の未熟さと防衛から生じているにすぎません。

真理を理解した者は、もはや非難も疑いも必要としない――
それがこの偈の核心です。


💼ビジネスにおける解釈と適用

観点応用例
信頼と批判組織内で常に他人を批判したり、疑ってかかる人は、信頼を得にくく、自らの成長も妨げられる。
執着を脱ぐマインドセット成果・立場・承認などへの執着を脱ぎ捨て、軽やかに変化を受け入れる姿勢が必要。
精神的な刷新価値観や固定観念にしがみつかず、新しい視点を受け入れることが、成長をもたらす。
脱皮するような変革キャリアや役割の転換期には、「過去の自分」を潔く手放すことが重要になる。

✅心得まとめ

「疑いと非難の皮を脱ぎ捨てよ」

人を責めることもなく、疑うこともなく、
この世の儚さを知って静かに前に進む人は、
古き自分を脱ぎ捨てて、
新たな自由の境地に生まれ変わる


この第五十五偈は、「執着を捨てる智慧」「心の脱皮」「変化と受容」の象徴とも言えます。

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