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心を制する者は、獣性を超える


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📜 引用原文(『ダンマパダ』第56偈)

心を制することは楽しい。心をまもれ。怠るな。
生けるものどもは心に欺かれている。或る人々は畜生のあいだにあって焼かれる。


🪶 逐語訳(意訳)

  • 心を統御することは安らぎであり、喜びである。
  • だからこそ、自分の心を常に見張って守れ。怠ってはならない。
  • 生きとし生けるものたちは、自分の心に欺かれている。
  • 中には、その結果として畜生界のような苦しみの境地で灼かれる者もいる。

📘 用語解説

用語解説
心を制する(citta-danto)欲・怒り・愚かさなどに揺さぶられない、訓練された心の状態。
心に欺かれる自己中心的な欲や錯覚に支配されて、判断を誤ること。
畜生のあいだで焼かれる(tiryag-yoni)愚かさ・無明・本能的な行動に支配された状態。文字通りの畜生道(六道の一つ)としても象徴的表現としても理解される。
怠るな(mā pamādo)精進の放棄・気の緩みを警告する言葉。

🧾 全体の現代語訳(まとめ)

心を律して生きることは、深い喜びと安定をもたらす。
だから心を放任してはならず、つねに見張って守らねばならない。
多くの人々は、自らの心に欺かれて愚かしい行為に陥り、
中には動物のような無明の世界で苦しみに焼かれる者もいる。


🔍 解釈と現代的意義

この偈は、「理性なき欲動に支配された生き方」が、人を“畜生のような境地”へと引き下ろすと警告します。

  • 何も考えず、目先の快楽や怒りに従って行動する。
  • 他人を傷つけても平気で、後悔や自省の念がない。
  • 反省なく同じ過ちを繰り返す――それはまさに「獣性」の表れです。

これは「来世の畜生道」だけでなく、現世における精神的堕落の比喩でもあります。
“欲望の奴隷”となって生きることは、実質的に「人間性の否定」ともいえるのです。


💼 ビジネスにおける解釈と適用

観点適用例
自己抑制力の欠如が招く失墜感情的な暴言や過剰な自己主張が、信頼や地位を損なうことにつながる。
惰性による思考停止知的怠惰のまま「なんとなく働く」ことは、能力低下と信用失墜を招く。
本能的衝動への警戒成功のために必要なのは、「瞬間的な欲」よりも「長期的な理性と計画性」。
人間性を保つリーダーシップ社内や社会でリーダーシップを発揮するには、心の訓練と慎みが不可欠。

💡 心得まとめ(結びのことば)

「心を守る者は人間性を保ち、心に欺かれる者は獣性に堕ちる」
「目の前の欲に従うことが、長期の災厄を招く」

獣と人の違いは、自制の有無にあります。
ビジネスでも日常でも、心に振り回されるのではなく、心の主人として立つ者が、
本当の幸福と成長を手に入れるのです。

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