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📜 引用原文(『ダンマパダ』第55偈)
心を制することは楽しい。心をまもれ。怠るな。
生けるものどもは心に欺かれている。或る人々は地獄で焼かれる。
🪶 逐語訳(意訳)
- 心をしっかりと制御することには、安らぎと喜びがある。
- だからこそ、心を常に守り、油断してはならない。
- 生きとし生けるものは、皆その自らの心に欺かれて迷い苦しんでいる。
- そして中には、その結果として地獄(苦しみ)に堕ちる者もいる。
📘 用語解説
用語 | 解説 |
---|---|
心を制する(citta-danto) | 心を調御し、欲望・怒り・迷いに振り回されない状態。仏教では修行の核心。 |
楽しい(sukho) | 肉体的な快楽ではなく、心の平穏・静寂・清浄を意味する精神的な安らぎ。 |
心に欺かれる(cittena nīyamānā) | 自らの思い込みや欲・執着・感情に振り回されること。 |
怠るな(mā pamādo) | 仏教の戒めの基本。「放逸(怠け)」は五蓋・煩悩の母体。 |
地獄(niraya) | 現世または来世における極度の苦しみの境地。 |
🧾 全体の現代語訳(まとめ)
心を自らの手で制御することは、深い喜びをもたらす。
だから常に心を見張り、怠らずに守らねばならない。
多くの人々は自らの心に欺かれて、誤った道を選び、
やがて深い苦しみに落ちるのである。
🔍 解釈と現代的意義
この偈は、「心に欺かれる=自滅」という構造を明確に説いています。
心とは本来、善にも悪にもなりうるもの。制御されない心は、しばしば自己破壊的な選択をさせるのです。
- 「怒りで突発的に言ってしまった」
- 「焦りから投資に失敗した」
- 「見栄や欲に駆られて無理を重ねた」
こうした“心の欺き”は、日常のあらゆる場面で私たちを誤らせます。
ゆえに、心の制御こそが本当の自由・安穏への道であると説かれます。
💼 ビジネスにおける解釈と適用
観点 | 適用例 |
---|---|
冷静な判断力の育成 | 感情に流された衝動的判断は、後悔を生みやすい。心を整えた者だけが、大局を見て決断できる。 |
ストレスマネジメント | 「怒り」「不安」「焦り」に任せて動けば、結果は破綻する。まず心の動きを俯瞰する習慣が要。 |
リーダーの自己統制 | 指導者が感情的にふるまえば、組織全体が振り回される。心を制する者は人を導く力を持つ。 |
誤った自己信念の打破 | 「自分はダメだ」「これは無理だ」といった心の嘘に騙されていると、成長のチャンスを逃す。 |
💡 心得まとめ(結びのことば)
「心を欺けば破滅し、心を制すれば安らぐ」
「敵は外に非ず。最大の欺きは、内なる心のささやき」
心は便利な道具にも、危険な敵にもなりえます。
その心をしっかりと見張り、鍛え、制御することが、
ビジネスにおいても人生においても、真の安穏と成功の基盤なのです。
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