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修めぬ心に、愛執はやすやすと入り込む


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📜 引用原文(出典:『ダンマパダ』第3章 第16偈)

屋根を粗雑に葺いてある家には雨が洩れ入るように、
心を修養してないならば、愛執が心に侵入する。

(※この句も形式的には第11〜15偈と一貫性を持つ「雨漏りと心の喩え」の拡張表現であり、「愛執(taṇhā)」に焦点を当てた教訓偈と捉えられます)


🪶 逐語訳

  • 手入れのされていない屋根の家に雨が漏れるように、
  • 修養されていない心には、愛執(強い執着)が染み込む。

📘 用語解説

用語解説
愛執(taṇhā)渇愛。対象にしがみつき、失うことを恐れ、離れられなくなる心の働き。輪廻と苦の根源とされる。
粗雑な屋根心の修養がなされておらず、防御や洞察力が弱いことの象徴。
修養していない心欲望・執着・衝動に無防備な心。
外部から侵入し、内面を蝕む精神的毒(煩悩・情動)の象徴。

🧾 全体の現代語訳(まとめ)

屋根の手入れがされていない家に雨が入り込むように、
修養されず放置された心には、愛執――すなわち「これがなければ不幸になる」「この人・このものがすべてだ」という強い執着心――が、
知らず知らずのうちにしのび込む。
そしてその執着が、苦悩・不安・恐れの根源となる。


🔍 解釈と現代的意義

この偈は、「愛着=苦しみの種」であるという仏教の根本思想を端的に表しています。

人は、「これが欲しい」「これを失いたくない」と執着することで、
その対象に依存し、失ったときに大きな喪失感・怒り・嫉妬・恐怖を感じます。
この**「手に入れたい」「つなぎとめたい」**という渇望(taṇhā)は、
放っておけばどこまでも肥大化していくのです。

だからこそ、心を整えることによって執着を俯瞰し、距離を取る力が求められます。


💼 ビジネスにおける解釈と適用

観点適用例
執着と柔軟性一つの方法・一つのポジションに固執しすぎると、変化に対応できなくなる。執着よりも柔軟さが大切。
人間関係の過剰依存特定の上司・部下・取引先との関係に愛執が強くなると、冷静さを失い、判断が歪むことがある。
ブランド・成功体験への執着一度の成功や過去の栄光にしがみつくと、変革の機会を逃し、企業として衰退するリスクを高める。
心の安全保障執着を手放す力は、逆境や失敗時にも心の安定を保つ力につながる。心の修養はリスク管理でもある。

💡 心得まとめ(結びのことば)

「執着は甘い仮面をかぶって、静かに心を占領する。」
「整えられた心にこそ、自由が宿る。」

執着はしばしば愛や情熱、努力と見分けがつきにくいものです。
しかし、その裏には「失うことへの恐れ」「過剰な依存」「自己の見失い」が潜んでいます。
それを見抜き、心を静かに整え、執着を手放せる人こそが、
本当の意味での自由と幸福に至るのです。


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