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もがく心にこそ、解脱への扉がある


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📜 引用原文(出典:『ダンマパダ』第3章 第2偈)

水の中の住居から引き出されて陸の上に投げすてられた魚のように、
この心は、悪魔(マーラ)の支配から逃れようとして、もがきまわる。

(パーリ語原典:Cittam dūraṅgamaṃ ekacaraṃ asarīraṃ guhāsayaṃ,
Ye cittaṃ saññamessanti mokkhanti Mārabandhanā.


🪶 逐語訳

  • 心は、水中から引き上げられた魚のように、
  • マーラ(悪魔)の束縛から逃れようともがき苦しむ。
  • 心は本性として、不安定であり、自由を求めてあらがう性質を持っている。

📘 用語解説

用語解説
魚のように本来あるべき「水の中(安心・無意識)」から引き離されたことで、混乱と不安に陥る様子の比喩。
悪魔(マーラ)欲望・怒り・無知など、人間の内面から来る煩悩や誘惑を象徴する存在。
もがきまわる心欲望や恐怖、執着に左右され、安定を欠いた心の状態。
住居を引き離される本能や快楽にとどまっていた心が、修行や自己省察によって目覚めはじめる苦しみの象徴。

🧾 全体の現代語訳(まとめ)

心は、欲望や執着の中で安住していた場所から引き離されると、混乱し、苦しみ、抵抗する。
ちょうど魚が水を離れて暴れ回るように、人間の心もまた、煩悩からの脱出を試みる過程では不安定になり、強い内的葛藤を経験する。
しかし、この「もがき」は、解放への入り口であり、真の自由への通過儀礼なのである。


🔍 解釈と現代的意義

この教えは、**「心の変化は、苦しみを伴って始まる」**という心理の真理を明かしています。
私たちは、これまで慣れ親しんだ快適な領域(惰性や習慣)から抜け出そうとするとき、必ず一時的な混乱や抵抗を感じます。
それは悪い兆候ではなく、むしろ心が「目覚めようとしている証」であり、意識の進化の前段階なのです。


💼 ビジネスにおける解釈と適用

観点適用例
変革の苦しみ新しい仕事、異動、昇進など、慣れた環境を離れるときに不安や混乱を覚えるのは自然なこと。それは成長の兆候。
内省のプロセス自己評価やフィードバックを受けて心がざわめくときは、マーラ(内なる抵抗)との戦い。そこを超えてこそ変容がある。
習慣からの脱却惰性で続けている非効率な習慣から脱するためには、一時的に「不安定」になることを恐れない勇気が必要。
リーダーの視点部下が変化に苦しんでいるとき、その「もがき」が解放の前兆であることを理解し、受容と支援をもって寄り添う。

💡 心得まとめ(結びのことば)

「心がざわめくのは、自由を求める証である。」

変化の初動は必ず「混乱」から始まる。
心がもがき、葛藤し、迷うその瞬間は、古い自分を脱ぎ捨てるための脱皮である。
私たちは、心がざわめく瞬間にこそ、真の自由へと歩み出すべきなのだ。

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