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心静かなる者は、神さえ測ること能わず


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🔖 原文(日本語訳)

「心のうちには怒りが無く、
変転する迷いの生存をとどめ、
つねに憂いを離れて、
すっかり楽しんでいる人を、
神々も見ることができない。」
――『ダンマパダ』第5章「愉楽品」第37偈


📝 逐語訳と解釈

  • 心のうちには怒りが無く:怒り(瞋)という煩悩が完全に消え、心が穏やかで澄んでいる状態。
  • 変転する迷いの生存をとどめ:輪廻転生(サンサーラ)の繰り返しを止めた。すなわち「生まれ変わりの苦しみ」から解脱している。
  • つねに憂いを離れて:執着・後悔・恐れといった精神的苦しみから自由になっている。
  • すっかり楽しんでいる人:真の意味で安らぎと喜び(アーナンダ)を得た人。
  • 神々も見ることができない:その存在はもはや肉眼や神通すら超えている。すなわち、存在の次元が異なるほどの高みに達している。

🧩 用語解説

用語解説
怒り(瞋)煩悩の一つで、苦しみ・不調和の根源。
迷いの生存(輪廻)生死を繰り返す存在の連鎖(サンサーラ)。
神々(デーヴァ)仏教においても存在するが、涅槃に達した者とは位が異なる。
見ることができない認識・理解・到達が不可能なほどの精神的高みにあることの象徴表現。

🌐 全体の現代語訳(まとめ)

怒りを持たず、
生死の苦しみから抜け出し、
常に不安や悲しみを離れて、
真に安らかに楽しんでいる者。

その人の存在は――
たとえ神々であっても、
もはや「見ることすらできない」ほど高く、静かで、自由なのだ。


💡 解釈と現代的意義

この偈は、仏教が説く「完全に煩悩を超越した存在=阿羅漢(アルハット)」やブッダそのものを描写しているとされます。

  • 真に偉大な人物は、怒らず、迷わず、執着しない
  • そうした人物の精神的深みは、もはや凡人には理解も感知もできず、神々すら到達できない領域にある
  • 現代においては、「静かな人格・落ち着いた精神性・反応しない器の大きさ」を持つ人物像としての理想を示しています。

🏢 ビジネスにおける解釈と適用

観点解釈・適用例
リーダーシップ怒りに反応せず、動じず、静かに物事を導ける人物は、圧倒的な信頼と尊敬を集める。
ストレスマネジメント怒りや不安を自制し、状況に執着しない人は、どんなプレッシャー下でも結果を出せる。
精神的成熟表層的な評価や目立ち方を超えた「沈黙の影響力」が、真の信頼を生む。
組織づくり誰かが怒らず、焦らず、穏やかに存在するだけで、チーム全体が落ち着く――そんな存在が職場には必要。

✅ 心得まとめ

「静かなる者の背には、風さえ立たぬ。」

怒りもなく、迷いもなく、
ただ満ち足りた心で人生を歩む人。
彼は「何かを成した」と評価されるのではなく、
「もはや誰にも測れない存在」として、時代の背後に静かに立つ。

ビジネスにおいても、
声を荒らげず、反応せず、沈着に道を進む者こそ、
真に人を動かすリーダーとなるのです。


この偈は、仏教思想における「究極の静けさと安楽」の象徴です。

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