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悪に染まり、善を怠れば、魂は沈む


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■引用原文(日本語訳)

三九
また悪いことをして、善いことをしないならば、
悪い行ないをした人は、禍のもとを身に受けて、
福徳を捨てて、この世で死を恐れる。
大水のさ中に難破した舟に乗っている人のように。
―『ダンマパダ』より


■逐語訳

  • 悪いことをして、善いことをしないならば:悪行を重ね、善行を怠ったならば、
  • 禍のもとを身に受けて:その人の身には、災いの種が積み重なる。
  • 福徳を捨てて:本来得られたはずの徳や幸運も、自ら放棄することになる。
  • 死を恐れる:生に安らぎなく、死を前にして恐怖に囚われる。
  • 難破した舟に乗る人のように:支えを失い、運命に翻弄される危機的な姿の喩え。

■用語解説

  • 悪いこと(悪業):仏教において、身口意(三つの行為)による有害な行い。自他に苦をもたらすもの。
  • 善いこと(善業):他者を助け、内心を清らかにする行動や言葉、思考。
  • 福徳:善行の積み重ねによって生まれる功徳。現世や来世に幸福をもたらす因果。
  • 死の恐れ:死を目前にして、自らの業(カルマ)に対する報いへの恐怖。
  • 難破した舟:不安定で沈みゆく人生・運命の象徴。

■全体の現代語訳(まとめ)

悪を重ね、善を怠った人は、
身に災いを背負い、
本来得られるはずだった福徳すらも手放してしまう。
そうして生きる彼の心には安らぎがなく、
死を迎えるときには深い恐怖が襲う。
まるで、大河の真ん中で舟が壊れ、
溺れゆく運命にある者のように。


■解釈と現代的意義

この偈は、「バランスを欠いた生き方が破滅を呼ぶ」という警鐘です。
悪を選び、善を怠れば、人は外的な困難
だけでなく、内面的な不安と恐れを抱えて生きることになります。
とりわけ死という避けられない事象に直面したとき、
「何も善を為せなかった」という思いは大きな後悔と恐怖を生みます。
このように、人生の充実とは、行動の倫理性と心の積み重ねによって支えられるものであることを、
この偈は力強く語っています。


■ビジネスにおける解釈と適用

観点応用例
長期視点の倫理短期的利益のために不正をすると、いずれ「事業の舟」は沈み、信頼も失われる。
内的安全と心理的報酬善を積まず、組織内の損得だけに生きる人は、いずれ満たされず、人生に不安を感じる。
キャリア形成善き行動(信頼・誠実さ・助力)を怠ると、いざというときに誰も手を差し伸べてくれない「沈みかけた舟」になる。
リーダーシップリーダーは徳を積むことで信頼という“浮力”を持つ。逆に不正や独断は、組織全体を難破させる。

■心得まとめ

「善なき人生は、支えなき舟のごとし」
悪を重ね、善を怠ったとき、
あなたの人生は、静かに、しかし確実に
福を失い、不安に沈む舟となる。
死を恐れ、心が揺らぐのは、
その舟が信頼と徳という帆を持たぬからだ。
今こそ善を積み、
沈まぬ人生を築け。
それが、恐れなき明日へ向かう道となる。


この偈は、倫理研修やキャリア設計、経営哲学などにおいて、
「人生の根幹をどう築くか」という問いに深く関わる内容です。

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