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悪は心に宿り、未来に苦をもたらす


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■引用原文(日本語訳)

三六
悪いことをしたならば、ひとは憂える。
ずっと昔にしたことであっても、
遠いところでしたことであっても、ひとは憂える。
秘密のうちにしたことであっても、ひとは憂える。
悪いところ(=地獄など)におもむいて(罪のむくいを受けて)さらに悩む。
―『ダンマパダ』より


■逐語訳

  • 悪いことをしたならば、ひとは憂える:悪行をなした人は、後悔と不安を抱える。
  • 昔のこと・遠くのこと・秘密のことでも:時間・場所・状況を問わず、その記憶は心を曇らせる。
  • 悪いところに赴いて悩む:仏教の死後観において、悪業により地獄・餓鬼などの苦界に堕ち、さらに深い苦しみを受ける。

■用語解説

  • 悪いこと(悪業):他者や自己を害し、道徳に反する行為。仏教では身体・言葉・心による不善な行為。
  • 憂える:後悔・罪悪感・将来への不安といった苦悩。
  • 秘密のうちにしたこと:他人に知られていなくとも、内面では消せない記憶。
  • 悪いところ(地獄など):仏教的な因果応報の結果として堕ちる苦しみの世界。比喩的には「内的地獄」「心理的荒廃」も含む。

■全体の現代語訳(まとめ)

悪行をなした人は、どんなに昔のことであっても、
どんなに遠い場所で、誰にも知られていなかったとしても、
心の中で後悔と憂いにさいなまれる。
そしてその人は、死後においても苦しみの世界へ堕ち、
さらにその報いとして深く悩むことになる。


■解釈と現代的意義

この偈は、**「隠せても、逃れられない」**という悪業の本質を語っています。
私たちはしばしば「誰にもバレなければ大丈夫」「もう過去のこと」として
過ちを忘れようとしますが、心の奥底には必ず痕跡が残るのです。
それが無意識のストレスや自己否定感、夢の中の不安となって現れ、
人生を重くする原因にもなります。
仏教の「地獄」は来世の表現だけでなく、内面における精神の地獄としても読むことができます。


■ビジネスにおける解釈と適用

観点応用例
コンプライアンス一時的な利益のために不正を働いても、のちに「心の安全」を失い続ける結果となる。
組織風土社員が「隠し事をしている」という感覚を持っていると、チームの雰囲気は自然に暗くなる。
自己成長失敗や過ちを無かったことにするのではなく、正面から見つめてこそ成長が始まる。
経営者の倫理観トップの見えない悪行が、いつか組織全体に苦悩として返ってくる。

■心得まとめ

「悪を隠しても、心は知っている」
誰にも知られずに、
昔に、遠くに、
悪しき行いをしても――
それを忘れてはいけない。
なぜなら、心はそれを知っているから。
そして、その報いは、
やがてこの身に、来世に、必ず返ってくる。
悪しきことを避け、清らかな道を進め。
それが、自分を守る唯一の道である。


この偈は、「自己認識と倫理教育」「リスクマネジメントの精神面」「後悔と赦しの扱い方」など、
ビジネスにおける内省や人間教育にも活用できます。

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