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悪の果は、今と未来の心を蝕む


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■引用原文(日本語訳)

三四
悪いことをした人は、この世で憂え、来世でも憂え、
ふたつのところで共に憂える。
かれは、自分の行為が汚れているのを見て、憂え、悩む。
―『ダンマパダ』より


■逐語訳

  • 悪いことをした人は、この世で憂え、来世でも憂え:悪行の影響は現世でも来世でも苦しみを生む。
  • ふたつのところで共に憂える:時間や存在を超えて、内面の苦悩は続く。
  • 自分の行為が汚れているのを見て:自己の行為を振り返ったとき、自覚が苦悩を生む。
  • 憂え、悩む:精神的苦痛、罪悪感、後悔、恐怖といった複合的な心の不安定状態。

■用語解説

  • 悪いこと(悪行):他者を害する、偽る、搾取するなど、意図的に行われた不道徳・不誠実な行為。
  • この世・来世:現実世界(生存中)と死後の世界(カルマによる転生の概念)。仏教的には輪廻の中で継続する影響を示す。
  • 行為が汚れている:道徳的に清らかでない行い。自他ともに悪影響を及ぼす因子。

■全体の現代語訳(まとめ)

悪いことをした人は、今この現世においても心に憂いを抱え、
死後の世界でもその報いによって苦しむ。
ふたつの世界において、悔恨と苦悩は継続し、
その苦しみは、自らの行為が穢れていたことに気づいたとき、
より一層深まるのである。


■解釈と現代的意義

この偈は、悪行は一時的に逃れても、内面の葛藤からは逃れられないという仏教的心理洞察を提示しています。
現代の私たちは、結果主義や責任の分散によって、個人の良心の呵責が軽視されがちです。
しかし、たとえ誰からも咎められなくとも、「自分自身の目」から逃れることはできない――
この偈は、そうした自己内省の痛みを描き出しています。
その苦しみは、今この世においても、そして仏教の教義においては来世においても、継続して現れるという戒めでもあります。


■ビジネスにおける解釈と適用

観点応用例
倫理的判断一時の利益のために不正・不誠実を選べば、その影響は長期的に自己評価や信用にダメージを与える。
リーダーシップ汚れた意思決定(虚偽、強要、利己)に関わったリーダーは、自身の行為を振り返ったとき深い内省に陥る。
組織風土隠蔽や責任転嫁が蔓延した組織は、関係者すべてが慢性的なストレスと罪悪感に苦しむ文化を形成してしまう。
個人の成長失敗や過ちから目を背けず、自らの行いに真摯に向き合うことで、次なる段階への精神的飛躍が可能になる。

■心得まとめ

「逃れ得ぬ報いは、自らの心が知っている」
悪しきことを為して、
たとえ誰にも知られずとも、
その苦しみは、今ここに芽吹き、
やがて来世へと根を張る。
――二つの時空で苦しむ者は、
他でもない、自らの行為に気づいた者である。
だからこそ、悪は避け、清き行いを積み重ねよ。
それこそが、心に安らぎをもたらす道なのだから。


この偈は「倫理観の醸成」「失敗後のリカバリー指導」「自己内省の訓練」などの文脈でも有効です。
企業研修や

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