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悪は忘れても、報いは忘れない


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■引用原文(日本語訳)

三〇
悪いことをしたときには気をゆるすな。
その悪いことが、ずっと昔にしたことだとか、
遠いところでしたことであっても、気をゆるすな。
秘密のうちにしたことであっても、気をゆるすな。
それの報いがあるのだから、気をゆるすな。
―『ダンマパダ』より


■逐語訳

  • 悪いことをしたときには気をゆるすな:自分の過ちを軽んじたり、もう済んだことだと思って油断するな。
  • ずっと昔・遠くで・秘密に行ったことでも:時間的・空間的・人的に離れたことでも、影響は残っている。
  • 気をゆるすな(繰り返し強調):内省と慎みを怠ってはならない。その行為の因果は必ず巡ってくる。

■用語解説

  • 悪いこと(悪行):他人や自分を傷つけるような言動。意識していなくても、因果に組み込まれる。
  • 気をゆるす:反省せずに済んだと思い込む心の状態。油断、過信、開き直りなど。
  • 報い(むくい):善悪の行為に対して、必然的に生じる因果の結果。必ずしも今この瞬間に現れるとは限らない。

■全体の現代語訳(まとめ)

たとえ過去に行った悪行が昔のことであっても、遠くで起きたことであっても、あるいは誰にも知られていない秘密であっても、その報いが存在する以上、決して油断してはいけない。
常に自らの行いに目を向け、戒めを忘れてはならない。


■解釈と現代的意義

この偈は「因果は必ず応報する」という仏教の基本的な倫理観を強く表現しています。
現代では、SNSの匿名性や過去の言動の忘却が、道徳的な自覚を弱める要因となっていますが、
本偈は「誰にも見られていないから」「昔のことだから」「遠くでやったから」と言っても、
行為そのものが宇宙に刻まれており、結果は必ず生じるという厳粛な真理を突きつけます。
だからこそ、「気をゆるすな」と四度も繰り返しているのです。


■ビジネスにおける解釈と適用

観点応用例
倫理とガバナンス小さな不正や改ざんも、後に必ず露見し、大きな責任問題になる。
コンプライアンス昔の契約違反、過去の誤魔化しでも、報い(法的・社会的)がある可能性がある。
自己点検過去の行動や発言を定期的に見直し、自ら是正の機会を持つことが信頼につながる。
組織文化「隠してもバレなきゃいい」という風潮を放置すれば、やがて組織全体が破綻する。

■心得まとめ

「油断は罪の根を育てる水である」
見られていないからといって、許されるわけではない。
時間が経っても、場所が違っても、報いは必ずやってくる。
――だからこそ、過去に目を閉じず、
常に己の行いを照らし続ける光を持て。
それが未来を守る唯一の盾となる。


この偈は「企業倫理」「セルフガバナンス」「行動記録の見直し」などにおいても重要なテーマです。

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