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■引用原文(日本語訳)
二二*
人がもしも善いことをしたならば、
それを繰り返せ。善いことを心がけよ。
善いことがつみ重なるのは楽しみである。
―『ダンマパダ』より
■逐語訳
- 善いことをしたならば:人に喜ばれること、誠実・思いやり・正直・感謝といった行動。
- それを繰り返せ:一度きりにせず、継続的な実践とすること。
- 善いことを心がけよ:意図的に、日常生活でそれを選ぶ意志を持ち続けること。
- つみ重なるのは楽しみである:善行が積み重なっていくこと自体が、心に安らぎと充実をもたらす。
■用語解説
- 善(ぜん):仏教における善とは、他者にも自分にも害を与えない行為であり、慈悲・喜捨・誠実・正見などを含む。
- 繰り返す:習慣化すること。行動の質よりも、継続の力に重点がある。
- 心がける:思い浮かべるだけでなく、意図して実行する方向へ意志を向けること。
- 楽しみ(スッカ):仏教においては、物質的快楽ではなく、心の深い安定と充足を意味する。
■全体の現代語訳(まとめ)
もしあなたが善いことをしたなら、それを一度きりで終えず、ぜひ繰り返してほしい。
善いことを日常的に意識し、それを積み重ねていけば、やがてそれは大きな喜びとなって自分の心に返ってくる。
■解釈と現代的意義
この偈は、「善行こそが人生を豊かにする種である」ことを説いています。
一度の善は美しい。だが、それを習慣とし、繰り返すことでこそ人格を養い、周囲との調和を育む力となります。
私たちの社会や人間関係、人生の質は、小さな善の積み重ねでできている。
だからこそ、見返りを求めず、日々善を選び、続けることが真の喜びを育てる鍵なのです。
■ビジネスにおける解釈と適用
観点 | 応用例 |
---|---|
顧客対応 | 誠実な言葉づかいや、相手を気遣う一言を日常的に続けることで、信頼と満足度が積み上がる。 |
組織文化 | ありがとうの文化、小さな協力、相談の一声など、日々の善意が「働きやすさ」をつくる。 |
自己管理 | ポジティブな習慣(読書・挨拶・感謝・整理整頓)を繰り返すことで、心の状態と成果が安定する。 |
リーダーシップ | 正直・公平・思いやりを行動で示すことで、部下は自然にそれを模倣し、組織全体が変わっていく。 |
■心得まとめ
「善は積めば積むほど、人生の光となる」
一度きりの善ではなく、繰り返しの善こそが、自分を育て、周囲を照らす。
――小さな善を続けることは、静かながら最も確かな道。
その先にこそ、深い喜びと安心が待っている。
この偈は、「習慣づくり」「道徳教育」「ポジティブ行動の強化」などに応用できる普遍的な教えです。
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