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蜜の味に惑わされず、報いを見よ


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■引用原文(日本語訳)

一八*
愚かな者は、悪いことを行なっても、
その報いの現われないあいだは、それを蜜のように思いなす。
しかしその罪の報いの現われたときには、苦悩を受ける。
―『ダンマパダ』より


■逐語訳

  • 愚かな者:目先の利益や快楽にとらわれ、因果の道理を理解しない人。
  • 悪いことを行なっても:道義に反する行為、不正、不誠実な振る舞い。
  • 報いの現われないあいだ:行為の結果がすぐには表れず、一見うまくいっているように見える期間。
  • 蜜のように思いなす:甘く、快く、自分にとって有利なことのように錯覚する。
  • 罪の報いの現われたとき:やがて因果の法則が発動し、隠れていた影響が表面化する時。
  • 苦悩を受ける:その報いが自らに降りかかり、後悔・苦しみ・損失を経験すること。

■用語解説

  • 蜜(みつ):ここでは「一時的な甘美な誘惑」「表面的な快感」の比喩。
  • 罪(ざい):仏教では他人への害だけでなく、自分の心を曇らせる不善行も含まれる。
  • 報い:行動に対する自然な結果(カルマの法則)。因果応報を表す。
  • 苦悩:精神的・道徳的・社会的な後悔、信用の失墜、自己否定など。

■全体の現代語訳(まとめ)

愚かな人は、悪いことをしても、その結果がすぐに表れない間は、それをあたかも蜜のように甘美で有益なことだと錯覚する。
しかし、時が経ちその報いが表れるとき、深い苦しみと後悔に包まれることになる。


■解釈と現代的意義

この偈は、「目先の快楽や利益が、やがて苦しみに変わることがある」という人生の真理を説いています。
特に現代では、短期的成果や損得勘定に流されがちです。しかし、たとえ表面上うまくいっているように見えても、不正や欺瞞の行為は必ずや「信用の崩壊」「自責」「対人トラブル」などの形で返ってきます。
大切なのは、「今よければいい」ではなく、「後で悔やまない選択」を重ねていくことです。


■ビジネスにおける解釈と適用

観点応用例
リスク判断不正経理・裏取引・虚偽報告など、短期的利益が得られるように見えても、発覚すれば取り返しのつかない損失になる。
モラル意識他人の評価を得るためにごまかす行動は、のちに自分の信用とキャリアを損なう原因になる。
自己統制快楽的・衝動的な行動(遅刻、怒声、嘘)は一時的には楽でも、繰り返せば自滅する。
教育とマネジメント若手に「短期成果ではなく、長期的に自分を守る行動とは何か」を問う指導が重要。

■心得まとめ

「甘きは苦しみの種なり、今見えずともやがて咲く」
見かけの甘さに流されることなく、因果の真理を見よ。
蜜のような誘惑の中に、後の苦悩が潜んでいる。
――正しい行いとは、今の快より、未来の平安を選ぶことなのです。


この偈は、「遅延報酬」「セルフコントロール」「道徳的判断教育」にも応用が可能です。

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