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悪は毒、避けて進むが智者の道


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■引用原文(日本語訳)

一四*
同行する仲間が少ないのに多くの財を運ばねばならぬ商人が、危険な道を避けるように、
また生きたいとねがう人が毒を避けるように、
ひとはもろもろの悪を避けよ。
―『ダンマパダ』より


■逐語訳

  • 同行する仲間が少ないのに:助けとなる者が乏しく、自分ひとりで多くを背負っているとき、
  • 多くの財を運ばねばならぬ商人:重い責任や価値あるものを守りながら行動する者の比喩。
  • 危険な道を避けるように:損失や害を避けるために、リスクの高い選択肢を回避する慎重な態度。
  • 生きたいとねがう人が毒を避けるように:命を大切にする者が致命的な毒を避けるように、
  • ひとはもろもろの悪を避けよ:自分の人生や心を守るため、悪しき行為・環境・思考を確実に遠ざけるべきである。

■用語解説

  • 悪(あく):仏教における「悪」は、他者や自己を傷つける行為、結果的に苦を生む思考・言動のすべて。
  • 毒(どく):ここでは悪の比喩。無自覚に取り込めば、心や人生そのものに深い害を与えるもの。
  • 危険な道:誘惑・無知・怒り・嫉妬など、心を堕落させる選択や状況。
  • 商人:責任を背負って旅する人生の旅人としての自己の象徴。

■全体の現代語訳(まとめ)

支えが少なく、大切なものを守って進む旅のような人生において、
人は危険な道(悪)を慎重に避けなければならない。
それは、生きることを願う者が毒を避けるように自然で、当然であるべき姿である。


■解釈と現代的意義

この偈は、悪からの「距離のとり方」を明示しています。
悪いと分かっていても、つい近づいてしまうのが人間の性。
しかしここで仏陀は、それを「命を守るように」「財を守るように」避けよと説きます。
人生とは、自分が背負うべき「価値あるもの」を護りながら歩む旅路です。
その旅を全うするには、何よりもまず、悪との接触を避ける智慧が必要です。


■ビジネスにおける解釈と適用

観点応用例
誘惑との距離楽をしたくなる誘惑、倫理に反する近道に「触れない」ことが、長期的な信用と成果を護る。
判断力と危機管理「これはリスクがある」と判断したとき、果断に悪や危険から距離を置けるかがリーダーの胆力。
組織文化一見利益になりそうでも、道義に反する判断を下さない文化づくりが、持続可能性を支える。
責任の重さ一人で背負っている荷が大きければ大きいほど、選ぶ道に慎重さが求められる。

■心得まとめ

「悪は近づくな、毒を避けるように離れよ」
正しい選択とは、必ずしも勇ましい挑戦ではない。
それはときに「避けること」であり、「触れないこと」である。
――守るべきものがあるならば、悪からは静かに、確実に遠ざかれ。
それが智慧の人の進み方である。


この偈は、「リスクマネジメント」「選択の倫理」「誘惑との向き合い方」など、ビジネス現場での自己規律や意思決定教育にも活用可能です。

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