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■引用原文(日本語訳)
九*
汚れの無い人、つねに清くして咎のない人、を汚す者がいるならば、
そのわざわいは、かえってその浅はかな人に戻って来る。
風にさからって細い塵を投げると、(その人にもどって来る)ようなものである。
―『ダンマパダ』より
■逐語訳
- 汚れの無い人:煩悩に染まらず、心が清浄で誠実な人物。
- 咎のない人:非難されるような過失や罪のない人。
- それを汚す者がいるならば:根拠もなく中傷や攻撃を加える人がいた場合、
- そのわざわいは…戻って来る:その行為の報いは、結局加えた本人に降りかかる。
- 風にさからって細い塵を投げる:相手を傷つけようとした攻撃が、自分に返ってくる様のたとえ。
■用語解説
- 汚れ(けがれ):心の中の煩悩、嘘、誤魔化し、欲などの不純な動機。
- 咎(とが):法的・道徳的な過失。仏教では行為のカルマ的影響を含む。
- わざわい:他人への悪意によってもたらされる自業自得的な災い。
- 風にさからって塵を投げる:無意味かつ有害な行為の愚かさの象徴。
■全体の現代語訳(まとめ)
清らかで非の打ち所のない人に対して、根拠なく中傷しようとする者がいれば、その悪意の報いは結局、自分自身に返ってくるだろう。
それはちょうど、風上に向かって砂塵を投げ、結局その砂を自分に浴びてしまうようなものである。
■解釈と現代的意義
この偈は、「誹謗中傷のブーメラン効果」ともいえる教えです。
他人を根拠なく非難しようとする行為は、実は自分の内面の未熟さや不満の表れであり、それは必ず自身の信頼・評価・人間関係において損失として返ってきます。
清らかで正直な人は、たとえ誤解されても揺るがない。その信念と人格こそが、最終的に人々からの尊敬を集めることになります。
■ビジネスにおける解釈と適用
観点 | 応用例 |
---|---|
信頼と誠実さ | 誠実に働く人への陰口や足の引っ張りは、短期的には効果があっても、長期的に自分の信用を失う。 |
評価と姿勢 | 他者を否定することで自分を持ち上げようとする態度は、チームの信頼関係を損なう。 |
組織文化 | 清らかで正しい行動をする人が尊重される風土が、健全な企業文化を育む。 |
自己防衛 | 中傷されたとき、焦らず誠実さを保ち続ければ、時が経つにつれて真価は自然と明らかになる。 |
■心得まとめ
「風上から塵を投げるな、それは自分に返る」
他人を貶めようとする行為は、いずれ自分を傷つける。
清き者を傷つけることで、自らの浅さをさらけ出すことになる。
――静かに、誠実に在り続けよ。誹謗に反応せずとも、真実は風に乗って明らかになるのだから。
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