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清きものに心を向け、濁りに親しむな


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■引用原文(日本語訳)

四*
世間のうちにある患いを見て、
汚れの無いことわりを知って、
聖者は悪を楽しまない。
悪人は浄らかなことを楽しまない。
―『ダンマパダ』より


■逐語訳

  • 世間のうちにある患いを見て:世俗の中にある苦しみ・迷い・争い・不浄を見つめ、
  • 汚れの無いことわりを知って:煩悩や欲望によって汚されていない真理・法(ダルマ)を理解し、
  • 聖者は悪を楽しまない:聖なる人(聖者)は、悪しき行いに魅了されることなく、それを遠ざける。
  • 悪人は浄らかなことを楽しまない:悪しき者は、清らかな教えや善き行為に価値を見出せず、それを避ける傾向がある。

■用語解説

  • 患い(うれい):苦しみ、迷い、不安、煩悩による心の混乱。仏教における「四苦八苦」に通じる。
  • 汚れの無いことわり(法/ダルマ):煩悩や執着のない、普遍的で清らかな真理。仏陀の教え。
  • 聖者(アーリヤ):真理に目覚めた者。煩悩を離れた修行者。
  • 悪人(パーパ・プルシャ):欲望や怒りに支配され、正しい道を理解しない者。

■全体の現代語訳(まとめ)

この世界に満ちた苦しみや汚れを見て、清らかな真理に目覚めた聖者は、悪に楽しみを見出すことはない。一方で、悪に染まった人間は、清浄で正しいものに心を寄せることができない。両者は、目指す価値そのものがまったく異なるのである。


■解釈と現代的意義

この偈は、「人の価値観は、その人の心の浄らかさに比例する」ということを示しています。
聖者は世の中の苦しみの根を見抜き、そこから距離を取ることができる。一方で、欲望に囚われた人間は、清らかなものを「退屈」「非効率」と見なし、悪や快楽に執着する。これは現代社会においても、善悪や美醜の感覚が鈍った状態に対する警鐘です。


■ビジネスにおける解釈と適用

観点応用例
倫理と価値観長期的な信頼や透明性を重視する組織文化は、「汚れの無いことわり」を尊重する者によって守られる。
判断基準「何が楽しいか」ではなく「何が清らかか(正しいか)」という基準で判断することが、ブレない経営判断につながる。
組織の健全性欲望や損得だけに基づいた意思決定ではなく、清明な理念を土台にした判断が、永続的な組織成長を支える。
個人の在り方日々の中で「これは清らかなことか?」と自問する習慣が、心の筋力を鍛え、より良い選択を導く。

■心得まとめ

「世の濁りに親しまず、清らかさに悦びを見よ」
他人がどうであれ、自分はどこに楽しみを見出すのか。
それは、その人の生き方全体を決定づける根幹です。
――苦しみの連鎖から抜け出すためには、「楽しみの対象」を選び直す勇気が必要なのです。


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