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群に在りて独り、濁りの中で清きを保つ


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■引用原文(日本語訳)

三*
俱に行ずるときにも、つねにひとりでいて、(たまたま)他の人々と混った智者・善き人は、悪を捨て去る。
乳を飲む鷺が水を捨てて(乳だけを飲む)ようなものである。
―『ダンマパダ』より


■逐語訳

  • 俱に行ずるときにも:他者と共に行動している時であっても、
  • つねにひとりでいて:常に自己の内面を保ち、心は独立している。
  • 他の人々と混った智者・善き人:世俗の中に身を置いても、清浄で知恵ある者。
  • 悪を捨て去る:悪しき習慣や影響に染まらず、自らを清め続ける。
  • 乳を飲む鷺が水を捨てて(乳だけを飲む)ようなものである:混じり合った中から、純粋なものだけを選び取る例え。

■用語解説

  • 俱に行ずる:集団や社会と共に生活すること。孤独な修行ではなく、世間の中にいる状態。
  • つねにひとりでいて:精神的な独立、自律の状態。外に流されない心の姿勢。
  • 智者:物事の本質を見抜く人。表面的な善悪にとらわれない洞察力を持つ者。
  • 鷺(さぎ):インド神話的な比喩で、乳と水が混ざっていても乳だけを吸収できるとされる鳥。純粋な選択眼の象徴。

■全体の現代語訳(まとめ)

どれほど多くの人と共に過ごしていても、真に賢い人、善き人は、自らの心を保ち、流されることなく悪を退ける。
その姿は、混じった水と乳の中から、乳だけを取り出す鷺のように、選びとる智慧をもっている。


■解釈と現代的意義

この節は、「同調圧力」や「集団の空気」に流されがちな現代社会への鋭い警鐘でもあります。
本質的に賢く善良な人は、群れの中にいても、孤独な自律心を保ち、善悪を自分の基準で見極めて行動します。
すなわち、内面的な静寂と識別力を備えた“選ぶ力”こそ、現代における本物の知恵です。


■ビジネスにおける解釈と適用

観点応用例
群れの中での独立心会議やチームの意見に流されるのではなく、自分なりの信念や基準で判断・発言する力が求められる。
情報の選別力膨大な情報・意見の中から、真に価値ある情報だけを選び取る力が、意思決定や戦略に直結する。
流されないリーダーシップ人気取りや空気に左右されず、「正しいこと」を貫く姿勢が信頼と影響力を生む。
倫理の堅持周囲に不正があっても、それに染まらず、自分の倫理観を守る強さがプロフェッショナリズムの証。

■心得まとめ

「濁りの中にあっても、澄んだ心で見よ」
鷺のように、水に交じった乳だけを吸い上げる力――それは、周囲に迎合せず、自分の価値観を磨き続ける姿である。
混沌とした時代の中で、「何を取り、何を捨てるか」の選択を誤らない者が、真の成功と安寧を得るのである。


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