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見る力のある者は、見る者も見ない者も見抜く


目次

📖引用原文(日本語訳)

見る人は、(他の)見る人々を見、
また(他の)見ない人々をも見る。
(しかし)見ない人は、(他の)見る人々をも、
また見ない人々をも見ない。
――『ダンマパダ』 第二七章「観察」第三十六節


🧩逐語訳と構成的解釈

  • 見る人(知慧ある者):真理や現実を正しく認識できる者。仏教では「慧眼を持つ者」。
  • 見ない人(無明の者):真理や現実が見えず、妄想や執着にとらわれた状態の者。
  • 他者を観る力:単に対象を視覚的に捉えるという意味ではなく、「相手の状態、認識の深さ、執着や智慧の有無を見分ける力」。

この節は、「真に見る人(=智慧ある人)」には、周囲の人が「見ているか、見えていないか」まで見抜けるが、
「見ていない人(=無明な人)」には、周囲がどうであるかさえも見えない――という、認識の次元の差を語っています。


🧠用語解説

用語解説
見る(パッサ)単なる物理的な視覚ではなく、「洞察」「観照」「真理を見通す智慧的視力」の意味。
見る人仏・聖者・修行者・洞察ある者など、真理に通じた人物。
見ない人欲望や迷いにとらわれ、物事の本質を理解できない者。仏教でいう「無明」にある人。

🪷全体の現代語訳(まとめ)

真理を洞察する目を持つ人は、
他者が「見えているか、見えていないか」をも見極める。

しかし、物事の本質が見えていない人には、
周囲の誰が目覚めていて、誰が迷っているのかも、
まるで見えていない。

見る力の差が、世界の見え方そのものを分けているのである。


🌱解釈と現代的意義

この節は、単なる情報や知識ではなく、洞察力=本質を見抜く力の重要性を語ります。
見えている人は、他者の視野や理解の深さをも洞察できます。
しかし、見えていない人は、自分の盲点にも、他者の見識にも、まったく気づけません。

この構造は、現代においても非常に実践的です。
特に、リーダー・教育者・コンサルタントのような立場の人にとっては、「誰が見えているのか」「誰が盲目なのか」を見分ける力が不可欠です。


💼ビジネスにおける解釈と適用

観点実務への応用例
組織の洞察力経営層やリーダーは、部下やメンバーが「どの視点で仕事を見ているか」「視野の広さ・深さ」を見抜く力が必要。
採用・育成の目利き見る人(ポテンシャルがある人)と、見えていない人(自己中心・視野が狭い)を識別することで、正しい人材配置が可能。
自己省察と成長「自分は本当に“見ている”のか?」「他者の理解や盲点を見抜けているか?」という自問が、成長を促す。

📝心得まとめ

「見る者にはすべてが見える。
見えぬ者には、何も見えない。」

洞察ある者は、
他者の成長や盲点までも見抜ける。
無明なる者は、自他の状態にさえ気づけない。

真に見る力とは、
自己だけでなく他者の理解の“深さ”や“方向性”までも
察する知恵である。


この第三十六節は、認識の質こそが世界の見え方を決定するという、仏教哲学における重要な洞察を短い一文で表しています。

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