MENU

飾られたものの奥に、壊れるものの宿命を見よ


目次

📖引用原文(代表句)

若々しく美しい女のように、醜くて穢れた身体が飾られている。
それは愚人を迷わすには足るが、賢者はそれに対する執著を離れる。

肢体に香料を塗られ、両足は赤堊で染められている。
それは愚人を迷わすには足るが、その人が永久に存続するということは有り得ない。

――『ダンマパダ』 第二七章「観察」 第二六節(A〜D)


🧩逐語訳と補足解釈

  • 若々しく美しい女のように:一見、魅力的で力強い生命の象徴としての身体。
  • 醜く穢れた身体が飾られている:内側には老い・病・死の不浄な要素があるが、化粧や装飾で覆い隠されている。
  • 香料・赤堊(せきあく):当時の装身法。体に香油を塗り、足を朱色に染めて美しさを演出する。
  • 永久に存続するということは有り得ない:どんなに美しくても、身体はやがて朽ちる。
  • 明らかに知る人々には執著がない:無常を知る智慧ある者は、表面的な美に執着しない。

🧠用語解説

用語解説
赤堊(せきあく)鉱物から得た赤色の粉で、装飾や化粧に使われた。現代で言う足元のネイルや染色に近い。
執著(しゅうじゃく)一つの対象にとらわれ、心が縛られること。
無常(アニッチャ)すべてのものは変化し続け、永遠ではないという真理。
賢者(パンディタ)真理を見通す智慧を持つ者。

🪷全体の現代語訳(まとめ)

美しく着飾った身体は、見る者に強い印象を与え、心を奪う。香料を塗られ、足元を赤く染めた姿は、一層その魅力を際立たせる。
しかし、それらはすべて、無常の肉体を覆う一時の装いにすぎない。
そのような美も、時間とともに老い、壊れ、消えていく。

真理を見抜く者は、その一瞬の美にとらわれず、その裏にある「壊れる定め=無常」を見ている。
だからこそ、賢者はそこに執着せず、自由な心でそれを観察している。


🌱解釈と現代的意義

この節群は、**「外見の魅力と内面の無常」**という対比を通じて、判断の深さ、心の自由、智慧の静けさを教えています。
特にA・Cのバリエーションで強調される「永久に存続しない」という視点は、不動の価値を外側に置くことの危うさを警告しています。
「明らかに知る人々には執著がない」(B・D)は、無常を認識することが「心の自由」に直結することを示しています。


💼ビジネスにおける解釈と適用

観点実務への応用例
ブランド構築一時的な流行や外見的ブランディングにとらわれず、長期的信頼・本質価値に基づく設計を行う。
組織評価とリーダー育成華やかなスピーチや見た目の強さに惑わされず、「日々の実行力」「姿勢」「長期的信頼性」を重視する。
自社商品の価値設計装飾的なスペックではなく、顧客の本質課題に向き合う「真の価値」を軸にした提案を心がける。
人間関係構築表面的な魅力や付き合いやすさに惑わされず、相手の誠実さ・一貫性・誠意を見抜く観察力を持つ。

📝心得まとめ

「美しさは一瞬、智慧は永遠」

若さも香りも色彩も、やがて消えていく。

それを知りながら、なお飾られたものを見つめ、
心を奪われずにいられるかどうか。

それが、観察者の力であり、真理のまなざしである。

永続するものは、内にある智慧と、離執の姿勢である。


この第二六節は、**「身体」「装飾」「迷い」「智慧」**のすべてを統合し、第二七章「観察」を締めくくる象徴的な句群です。

よかったらシェアしてね!
  • URLをコピーしました!
  • URLをコピーしました!

この記事を書いた人

コメント

コメントする

CAPTCHA


目次