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香りも紅も心を染めず、賢者は魅力を超えて観る


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📖引用原文(日本語訳)

見よ、あのように宝石や腕輪で粉飾された形体を!
それは愚人を迷わすには足るが、賢者はそれに対する執著を離れる。
――『ダンマパダ』 第二七章 第二十二節

二二A:肢体に香料を塗られ、両足は赤堊で染められている。
それは愚人を迷わすには足るが、彼岸を求める人々を迷わすことはできない。

二二B:肢体に香料を塗られ、両足は赤堊で染められている。
それは愚人を迷わすには足るが、賢者はそれに対する執著を離れる。


🧩逐語訳

  • 宝石や腕輪で粉飾された形体:贅沢な装飾で飾られた身体。外面的魅力の象徴。
  • 香料を塗られ、赤堊で染められている:香水や化粧、特に足先への装飾。身体美の強調表現。
  • 愚人を迷わす:表面に心を奪われ、欲望や執着に捕らえられる人々。
  • 賢者/彼岸を求める人々:真理・涅槃・精神的自由を志す者。装飾に惑わされず、本質を見る者。
  • 執著を離れる:魅力を認識しつつも、それに心を捕らわれず、自由なまなざしを保つこと。

🧠用語解説

  • 赤堊(せきあく):紅色の顔料・粉。インドでは特に足を赤く染める装飾に用いられる。
  • 粉飾(アランカーラ):飾り立てること。欲望や迷妄の引き金になるものとされる。
  • 愚人(バールカ):現象・外観にとらわれて真理を見抜けない者。
  • 賢者(パンディタ)/彼岸の人(パーラガー):外面ではなく内実・真理を見ようとする者。執着からの自由を得ている。

🪷全体の現代語訳(まとめ)

身体は宝石や香料で飾られ、華やかに装われる。その姿は確かに魅力的で、愚かな者はそれに心を奪われる。
だが賢者は、その装飾の背後にある「無常」や「空」を観る。
どれほど美しくても、それが本質ではないと知る者にとって、香りも色もただの現象にすぎない。
彼らの心は執着から解放されており、彼岸――真の平安へと向かっている。


🌱解釈と現代的意義

この句は、現象の「美しさ」と、それに心を囚われるか否かという精神的成熟の違いを明示しています。
現代では、SNS、広告、ブランド、外見など、華やかな装いが多くの人を惹きつけます。
しかし、それに心を奪われると、本当に見るべきもの――人の誠実さ、信念、行動の意味――が見えなくなります。
仏教は、それを「迷い」と見抜き、美を超えて本質を観る眼差しこそが智慧であると説くのです。


💼ビジネスにおける解釈と適用

観点実務への応用例
イメージ戦略の見極め華やかな装飾や演出に惑わされず、事業の本質や姿勢に注目する姿勢が必要。
リーダーとしての判断力見た目や表現力より、人物の中身・一貫性・信頼性に価値を見出す評価基準を持つ。
ブランドづくりの軸装飾的な要素は一助にはなるが、顧客との信頼は誠実な提供価値と共鳴によって築かれる。
執着からの解放表層的成功(地位・名誉・収入)への執着を手放すことで、持続的かつ安定した判断が可能になる。

📝心得まとめ

「香りも紅も真理を隠せぬ。見る者の眼は、執着を超えて澄んでいる」

飾られた身体に惑う者は多い。
しかし、飾りを越えて真実を見る者は、その美をも超えた地点に立っている。

美しさを否定せず、ただ執着しない――そこに智慧があり、自由がある。


この句により、第二七章「観察」は**「身体」および「美と執着の関係」における洞察**を深めて締めくくる構成が整ってきています。

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