MENU

飾られた身体の奥に、真の不安を見よ


目次

📖引用原文(日本語訳)

見よ、粉飾された形体を!
(それは)傷だらけの身体という名のものであって、
病いに悩み、虚妄の意欲ばかりで、
堅固に安住することがない。
――『ダンマパダ』 第二七章「観察」第二十節


🧩逐語訳

  • 粉飾された形体:化粧・装飾・衣服などで整えられた身体。外見的には魅力的に見えるが…。
  • 傷だらけの身体:内実は、怪我・病・老い・崩壊性を抱えた不完全な物質体。
  • 病いに悩み:身体は常に不安定で、病気・衰え・苦痛の可能性にさらされている。
  • 虚妄の意欲ばかり:現実とかけ離れた欲望・執着に駆られて行動しがちである。
  • 堅固に安住することがない:決して安定せず、常に変化・崩壊・流転に晒される存在である。

🧠用語解説

  • 粉飾(アランカーラ):飾り立てること。仏教では「外見に惑わされる愚かさ」の象徴。
  • 虚妄(モーハ):真実を見抜けない迷いの心。誤った欲望・妄念とも結びつく。
  • 安住しない(アサーラ):不変・永遠の実体がないこと。無常・非安定性のこと。

🪷全体の現代語訳(まとめ)

外見を整え、美しく着飾った身体――それは確かに魅力的に見えるかもしれない。
しかし、その実態は傷だらけで、不安定で、病に蝕まれやすい。
そのうえ、数々の虚妄な欲望に心を揺らされ続けている。
つまりこの身体は、見た目とは裏腹に、永遠に落ち着くことのない、不安定な幻に過ぎない。


🌱解釈と現代的意義

この句は、「身体=自分」という思い込みに対して根本的な問いを突きつけます。
私たちは身体を美しく整えることに大きな価値を置きますが、その根底にある老・病・死・不安定性から目をそらしてはなりません。
仏教は身体を否定するのではなく、その本質を正しく見よと説きます。
本質を見れば、外見に対する執着や不安も静かに手放せるのです。


💼ビジネスにおける解釈と適用

観点実務への応用例
見た目重視の落とし穴ブランドや人物評価において、外見や表層的印象だけに頼らず、実質・本質を見ることの重要性。
健康経営の本質身体の脆さを理解したうえで、無理な労働環境ではなく、持続可能で柔軟な働き方を追求する。
見栄に惑わされない判断表向きの派手な業績や宣伝に惑わされず、継続性や誠実さを軸に評価する洞察力が必要。
誤った欲望への冷静な距離昇進・報酬・承認欲求などの「虚妄の意欲」に流されず、使命・貢献という軸で判断できるようになる。

📝心得まとめ

「飾られた身体の奥に、壊れゆく現実を見る者こそ、真に美しい」

粉飾された姿に囚われれば、私たちはやがて内なる不安と乖離していく。
しかし、その内実を静かに観察し、脆さを受け入れ、誤った欲望から距離をとるとき、
真の平穏と自由が始まる。

本質を見抜く眼を養えば、身体に縛られず、心はどこまでも軽やかになる。

よかったらシェアしてね!
  • URLをコピーしました!
  • URLをコピーしました!

この記事を書いた人

コメント

コメントする

CAPTCHA


目次