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美を観て迷うなかれ、離れてこそ、真の知恵


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📖引用原文(日本語訳)

つねにこの身体を見よ。王車の車のように美麗である。
愚者たちはそこに迷うが、賢者はそれに対する執著を離れる。
――『ダンマパダ』 第二七章「観察」第十九節


🧩逐語訳

  • この身体を見よ:自分自身の身体について常に観察し、その本質を理解せよ。
  • 王車の車のように美麗である:まるで王の馬車のように見事で、外見上は非常に魅力的である。
  • 愚者たちはそこに迷う:その美しさに目を奪われ、真理を見失い、欲望や執着に支配される。
  • 賢者はそれに対する執著を離れる:身体の美を認めつつも、そこに固執せず、冷静に手放す智慧ある態度をとる。

🧠用語解説

  • 王車(ラージャ・ラタ):格式と豪華さを象徴するもの。ここでは身体の「美しさ」の象徴として使われる。
  • 愚者(バーラ):無知ゆえに表面に惑わされる者。仏教では執着する心を持つ者をさす。
  • 賢者(パンディタ):洞察と智慧をもって真理を理解する人。執着を離れることで苦から自由になる存在。
  • 執著(アーサヴァ):五欲(財・色・食・名・睡)などへの強い執念やこだわり。

🪷全体の現代語訳(まとめ)

身体はまるで王の車のように華やかで、美しく、魅力的に見える。
しかしその美しさに囚われる者は、真の価値を見失い、欲望と錯覚の中に迷い込んでしまう。
一方、賢者はその美しさを観察しながらも、それに執着することなく、心の自由と静けさを保つ。


🌱解釈と現代的意義

この節は、**「美しいものを美しいと認めること」と「それに囚われないこと」**の違いを際立たせています。
現代社会では外見や印象に過度に価値が置かれがちであり、人は無意識にそれを追い求めます。
しかし、仏教が説く“観”とは、美の否定ではなく、美に支配されないまなざしを育てることです。
賢者とは、美を冷静に見つめ、その背後にある「無常性」「非実体性」を理解する人なのです。


💼ビジネスにおける解釈と適用

観点実務への応用例
第一印象・外見偏重の回避採用・商談・評価において、見た目や派手さに左右されず、実質的な中身と志を重視する判断力を持つ。
ブランド価値の本質把握見かけのデザインやPRに惑わされず、製品・サービスの本質的価値と継続性を評価する視点を育てる。
自己過信の抑制外見や成功体験に慢心せず、謙虚に内省し、変化を受け入れられる姿勢が信頼と発展を生む。
バランス感覚のある指導メンバーが外面的成果に執着しないよう支援し、真の自己成長や価値創出に向かわせる指導ができる。

📝心得まとめ

「美しきものを否定せず、執着せず、超えて観る」

身体は美しい。そのこと自体に誤りはない。
しかし、その美しさに心を奪われれば、道を見失う。
真の賢者は、美を知りつつ、美に縛られず、自由に生きる。
それが、智慧ある観察者の姿であり、中道を歩む者のしなやかさなのです。


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