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とどまらず、思い上がらず、道なき道を歩む者


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📖引用原文(日本語訳)

この二つの極端説を知って、そこにとどこおっていなかった賢者たちは、
それで思い上ることはない。
かれらには(決った)道が存在しないのである。
――『ダンマパダ』 第二七章「観察」第十四節


🧩逐語訳

  • この二つの極端説:禁欲的執着(善にとらわれる)と快楽主義(欲に溺れる)の二つの偏り。
  • とどこおっていなかった:どちらにも執着せず、自由であったこと。
  • 思い上ることはない:自らの悟りや智慧を誇らず、謙虚である。
  • 決った道が存在しない:形式や固定観念に縛られず、状況に応じた柔軟な生き方をしている。

🧠用語解説

  • 思い上がり(マーナ):慢心、優越感、精神的な「自我の膨張」。
  • 賢者(パンディタ):真理を見抜き、中道を実践する者。
  • 道が存在しない:真理の道は一つの形式に固定されず、悟った者は「定型」に依らない柔軟性を持つ。

🪷全体の現代語訳(まとめ)

禁欲と快楽という両極端を知りつつも、どちらにも偏らなかった賢者たちは、その中庸の在り方に誇りを持ったり、人に誇示したりすることがない。
彼らは決まった型・固定観念にとらわれることなく、自由に、自然に、状況に応じて歩むことができる――まるで“道なき道”を歩むように。


🌱解釈と現代的意義

この句は、知識や修行における「完成の境地」においても、なお誇らない心、何者かに“なろうとしない”柔軟性を説いています。
賢者とは、両極端を知ったうえで執着せず、しかもその境地すらも自己誇示の材料にしない者。
真の自由とは、「正しいことをしている私」からも自由であること。
そして、特定の型に固執しない“自在の智慧”こそが、ブッダの説いた“生きた中道”の姿です。


💼ビジネスにおける解釈と適用

観点実務への応用例
リーダーシップの在り方「成果を出した」「倫理的だ」といった自負が慢心に変わらぬよう注意。謙虚で柔軟なリーダーが長く信頼される。
柔軟な判断力原理主義的ルールや成功体験に固執せず、状況に応じた柔軟な意思決定ができる組織は強い。
自己満足からの脱却「自分は良いことをしている」という慢心が、成長を止める。誇らずに実行し続ける姿勢が成熟をもたらす。
形式より本質を重んじる定型や習慣にこだわらず、目的や意義を重視する文化が、イノベーションを生む土壌となる。

📝心得まとめ

「道にとどまらぬ者こそ、真に道を歩む」
「誇らず、型に囚われず、それでも真理を見つめ続ける」

賢者は、正しさに誇らず、知識や信念に固まらず、ただ静かに、しなやかに歩む。
彼らには「これこそが正しい道」という狭さはない。
それは、状況に応じ、相手に応じ、自らの心の深さと静けさをもって対応できる「自由の道」。
中道とは、歩く者によって日々新しく創られていく、“道なき道”なのです。

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