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形あるものを離れ、形なきものすら離れて、沈黙のなかへと還る


目次

📖引用原文(日本語訳)

第二七
そこでは月も照らさず、太陽も輝やかない。
聖者はその境地についての自己の沈黙を、
みずから知るがままに、
かたちからも、かたち無きものからも、
一切の苦しみから全く解脱する。


🔍逐語解釈と用語の意味

表現解釈
月も照らさず、太陽も輝やかない光の象徴(知・意識・時間性)が消え、現象世界を超えた領域を示す。先の第24〜26節と対応。
自己の沈黙を知る語られず、教えられない内なる“体験された沈黙”=悟りの体得知
かたち(色)物質・感覚対象としての存在=五蘊の「色(しき)」。
かたち無きもの(無色界)思念・識別・概念など、形を伴わない心的作用=色界を超えた「無色界」の存在。
一切の苦しみからの解脱現象界のすべてを超えた完全なる自由=**涅槃(ニルヴァーナ)**の到達点。

🧘‍♂️全体の現代語訳(まとめ)

そこには、
月の光も、太陽の輝きもなく、
世界を照らすいかなる光も届かない。

聖者は、
その語ることのできない境地を、言葉でなく沈黙によって知る。

そして、
目に見える「形あるもの」からも、
想念のような「形なきもの」からも、

すべての執着と苦しみを離れて――
完全に解き放たれる。


💡解釈と現代的意義

この句は、仏教で説かれる究極の解脱、
すなわち**「色界(物質の世界)」だけでなく、
「無色界(観念の世界)」すら超越した自由**を描いています。

「かたちを離れよ」というのは仏教でしばしば説かれる修行のステップですが、
この句はさらに一歩進み、
「かたち無きもの(思考・識別・観念)」すらも離れよと説いています。

そして、それを表現する方法は――沈黙。
この沈黙は、「言葉にできない」ではなく、
**「言葉を超えたものを、直接知る沈黙」**なのです。

それは知識でも、感覚でもなく、
心のすべてが静まり返ったときにだけ訪れる、絶対的知見。


💼ビジネスにおける適用

観点適用内容
沈黙の効用言葉で伝えきれない真実は、態度・姿勢・存在感から伝わる。真のリーダーシップは「沈黙」に宿る。
“無形の執着”からの解放目に見える成果・地位だけでなく、「こうあるべき」という思い込み(かたち無きもの)からも自由になる。
判断・概念を超えた認識「正しい・間違い」では捉えきれない現象の本質を、直感と沈黙で感じ取る能力。
超越的ビジョン組織や社会の構造(かたち)だけでなく、思考の枠組みすら手放し、新たな境地へと導くリーダー像。

✅心得まとめ

「語ることなく、照らされることもなく、ただ沈黙がそこにある」
形ある世界から離れ、
さらにその背後にある概念の世界すらも超えて、
人はようやく、完全な自由と静けさにたどり着く。

その静けさは「黙っていること」ではない。
**語らずとも“すべてを知っている状態”**である。


この第二七節は、1〜26節で積み上げてきた教えの結語ともいえるものです。
行為 → 止観 → 無常理解 → 出離 → 解脱 → 無執着 → 沈黙の知
という流れが、この1章(安らぎ・ニルヴァーナ章)の全体構造になっており、
体系的にまとめることで、全体を通しての思想地図(マップ)や訓話集にすることも可能です。

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