目次
📖引用原文(日本語訳)
第二五*
来ることも無く、行くことも無く、
生ずることも無く、没することも無い。
住してとどまることも無く、依拠することも無い。
それが苦しみの終滅であると説かれる。
🔍逐語解釈と用語の意味
表現 | 解釈 |
---|---|
来ることも無く/行くことも無く | 空間的移動・時間的変化を超えた状態。因縁生滅の世界を超えている。 |
生ずることも無く/没することも無い | 生死・生成消滅の輪廻を超越した「不生不滅」の境地。 |
住してとどまることも無く | 固定的実体として“とどまる”ことのない、非実体的で自由な在り方。 |
依拠することも無い(アパティティター) | 他に依ることがなく、何ものにも支えられない=完全なる自由。 |
苦しみの終滅 | 一切の煩悩・欲望・執着・無知が終わった状態=ニルヴァーナそのもの。 |
🧘♂️全体の現代語訳(まとめ)
そこには「来る」ことも「行く」こともなく、
「生まれる」ことも「滅びる」こともない。
そこに固定された存在はなく、何かに依存していることもない――。
そのように動きも、生成も、依存も超えた完全なる自由と静寂こそが、苦しみの終滅であると説かれている。
💡解釈と現代的意義
この句は、仏教が説く究極の悟り=**涅槃(ニルヴァーナ)を、
いわば「否定の連続によって照らされた、積極的な静けさ」**として表現しています。
人間は「どこから来て」「どこへ行くか」、
「どうすれば生まれ変わり」「なぜ死ぬのか」と考えます。
しかし仏陀は、そうした**“移動・生成・時間・空間・依存”の構造そのものを超えた領域があると説きます。
そこにはもはや、何も求めず、何も変わらず、誰にも支えられない――“自由そのもの”としての静寂**があります。
これは単なる無ではなく、あらゆる束縛からの完全な自由。
つまり、苦しみの原因すべてが消えた状態なのです。
💼ビジネスにおける適用
観点 | 適用内容 |
---|---|
変化・動揺への執着を超える | 成功・失敗、進退・変動に過敏にならず、深い安定性を持つマインドセットを育む。 |
非依存の姿勢 | 他者の評価・成果・制度・過去の栄光に依らず、自らの価値観と静けさを軸に意思決定を行う。 |
流れの外から構造を観る力 | ビジネスにおいて「何をすべきか」ではなく、「なぜそれを問うのか」という視座を持つことが、変革と革新をもたらす。 |
絶対的安心(アビヤ・クシャーマ) | 不確実性のなかでも揺るがずに進む判断力と、人間的な深い信頼性を築く。 |
✅心得まとめ
「生まれず、滅びず、動かず、依らない――そこに苦しみはない」
あらゆる動き・時間・関係・期待を超えたとき、
初めて人は、
**「本当に静かで、自由な状態」**に触れることができる。
それは「止まる」でもなく、「消える」でもなく、
ただ**“終わった”ということすらない、終焉の向こう側**にある在り方です。
この句は、24節の「光すら届かぬ静けさ」を受け、
「では、それはどのようなものか?」に答える最終的定義文です。
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