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■引用原文(日本語訳)
第二五章 友一*
明らかな知慧のある人が友達としてつき合ってはならないのは、信仰心なく、ものおしみして、二枚舌をつかい、他人の破滅を喜ぶ人々である。悪人たちと交るのは悪いことである。
――『ダンマパダ』
■逐語訳(意訳を含む)
- 知恵ある者(賢者)は、以下のような人々を友とするべきではない:
- 信仰心がない者(無信)
- 物惜しみをする者(吝嗇)
- 二枚舌を使う者(不誠実で裏表のある言動をする)
- 他人の不幸や破滅を喜ぶ者(妬みや悪意を持つ者)
- このような者たちと付き合うことは、悪そのものである。
■用語解説
- 信仰心なく:仏法や道義を信じず、尊ぶ心のない人。倫理的基盤を持たない。
- ものおしみして:自己中心的で利他心がなく、分かち合いや施しをしない人。
- 二枚舌:言葉を巧みに使い、他者を混乱させる偽善者や裏表のある人。
- 他人の破滅を喜ぶ:妬みや悪意から、他者の不幸を楽しむような心根の者。
- 悪人たち:以上の特徴を持ち、社会や精神的な害をもたらす人々。
■全体の現代語訳(まとめ)
知恵ある者は、心を濁す人々と交わってはならない。とくに、信仰心がなく、利己的で、言葉に誠実さがなく、他者の不幸を喜ぶような者とは、友になってはならない。悪しき者との交わりは、結局自らをも破滅に導くからである。
■解釈と現代的意義
この章句は、「交友関係が人生を決定づける」という深い真理を示しています。人格や運命は、誰と時間をともにするかによって形成される。悪意を持った人々と交われば、その毒気は自分にも忍び寄り、気づかぬうちに自分自身がその一部になってしまう。賢者は、孤独を恐れず、真に価値ある人間関係を選び取る勇気を持つべきです。
■ビジネスにおける解釈と適用
観点 | 適用例 |
---|---|
人間関係の選択 | 信頼できない人物や誠実さに欠ける人とは、たとえ利害関係があっても距離を取る判断が必要。 |
組織文化の形成 | 他者の成功を妬む文化や、裏で不誠実な行動をとる組織に属し続けると、自身の倫理観が損なわれる。 |
採用やチーム構築 | スキルよりも価値観や人間性を重視した採用が、長期的には健全なチームをつくる鍵となる。 |
独立と自律性 | 自らが成長し続けるためには、有害な人間関係から距離を置き、必要なら独りの道を選ぶ覚悟が求められる。 |
■心得まとめ(感興のことば)
「毒ある花の香を求めず、清らかな友を選べ」
知恵ある者は、見かけの魅力や利益に惑わされず、内面の徳を重んじて人と交わるべきである。孤独を恐れて悪友に染まるくらいなら、独りの方がよい。友情とは、魂を高め合う関係でなければならない。
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