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自己に克つ者、万人に勝る


■ 引用原文(日本語訳)

戦場において百万人の敵に勝つとも、唯だ一つの自己に克つ者こそ、実に不敗の勝利者である。
――『ダンマパダ』第3章「心」より(三*)


■ 逐語訳

  • 戦場において:外的な困難や敵対状況を象徴する。人生の競争や闘争を含む。
  • 百万人の敵に勝つとも:外的な成果や他人に対する勝利、物理的・数的な優位を暗示。
  • ただ一つの自己に克つ者:自らの欲・怒り・驕り・怠惰など、内なる敵に勝つこと。
  • 実に不敗の勝利者である:永遠に敗れない真の勝者である。外的勝利は一時的だが、内的勝利は永続する。

■ 用語解説

  • 自己:単なる身体や表層の感情ではなく、心・エゴ・煩悩・本性などを含む深い意味での“わたし”。
  • 克つ(かつ):自己の弱さを乗り越え、意志の力で自己を律すること。
  • 不敗:何ものにも揺るがされない真の強さ。勝っても傲らず、負けても崩れない心のあり方。
  • 勝利者:世俗的成功者ではなく、内面的に完成された人を指す。

■ 全体の現代語訳(まとめ)

「外の敵に何万人勝っても、それは一時的な栄光に過ぎない。だが、自分の中の怒りや欲、怠け心といった“自己”に勝てる者は、永遠に敗れることのない真の勝利者である」
――この言葉は、真の勝利とは内なる戦いに打ち克つことだと教えている。


■ 解釈と現代的意義

現代社会では、競争に勝ち、他人より成果を出すことが「勝利」とされがちです。しかしこの句は、**最大の敵は他人ではなく「自分自身」**であることを明確に指摘しています。

怒り・虚栄・怠惰・焦り・恐れ――これらは外敵よりも手強く、静かに人生を蝕む存在です。
この教えは「自己制御こそ最大の強さ」であり、「内面の勝利なくして真の成功はない」ことを、深く鋭く伝えてくれます。


■ ビジネスにおける解釈と適用

領域適用例
自己管理・リーダーシッププレッシャーの中で怒りを抑え、冷静さを保てる人こそが本当の指導者である。
成果への姿勢数字や他人との競争に一喜一憂せず、地に足の着いた自己成長に目を向ける。
継続的改善自らの弱さや甘さに向き合い、それを一つずつ乗り越えていく姿勢が、信頼と成果を生む。
メンタルヘルス外部要因ではなく、自分の心の状態を整えることでストレス耐性を高める。

■ 感興のことば(心得まとめ)

「自己を征する者は、いかなる世界も征する」

百万人に勝つことができても、欲望や怒りに負けるならば、その勝利は空しい。
自己を律し、自己に勝つ者こそが、不動の勝者であり、あらゆる場において真に尊ばれる存在である。


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