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外ばかりを見る者は、声に惑わされる


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■引用原文(日本語訳)

一三 内を知らないが、外をはっきりと見て、
外のほうの結果ばかりを見ている人は、実に音声に誘われる。
――『ダンマパダ』 第二二章 第十三節


■逐語訳

  • 内を知らない:自分自身の内面や動機、本質への理解や省察がない。
  • 外をはっきりと見ている:見た目・他人の評価・成功や失敗など表面的な現象に注目している。
  • 外の結果ばかりを見る:行動の本質ではなく、報酬や成果ばかりを評価基準にしている。
  • 音声に誘われる:魅力的な言葉や響き(声・宣伝・演説)に簡単に動かされ、惑わされてしまう。

■用語解説

  • 内(アッタ):自己の内面、意図、心の動き、精神性、魂のあり方。
  • 外(バヒダー):物質的成果、評判、金銭、地位、見た目などの外的要素。
  • 音声(サッダ)に誘われる:仏教では「言葉だけに反応して判断してしまう愚かさ」を表す比喩。
  • 結果ばかりを見る:手段や動機を問わず、目に見える成否だけに価値を置く態度。

■全体の現代語訳(まとめ)

自分の内面を顧みることなく、外に現れるものばかりを見ている人は、
物事の真意や本質を捉えることができない。
そのような人は、表面的に響く言葉や声(音声)に容易に惹かれてしまい、惑わされてしまう――と仏陀は教えている。


■解釈と現代的意義

この詩句は、**「外に向かう心が、内面の弱さを露呈する」**ことを説いています。
情報過多・SNS社会の現代においては、「声が大きい者」や「映える成果」に流されがちです。
しかし、それはしばしば中身のない印象操作に過ぎず、判断を誤らせます。

仏教は、「真実は静かにしている。心が澄んでいなければ見えない」と教えます。
内面を知らずに判断する者は、結局は音(言葉・宣伝・声)に流され、外に振り回される存在になるのです。


■ビジネスにおける解釈と適用

観点実務への応用
判断力の本質数字や成果報告だけで判断せず、「その背後にある動機・努力・プロセス」を理解しようとすることが重要。
広報や広告への態度派手な広告やプレゼンに惑わされず、事業の中身にこそ目を向ける投資判断が求められる。
リーダーの資質声が大きいだけの指導者ではなく、静かでも誠実に自分を省みている人こそが信頼される。
自己反省外部評価に一喜一憂せず、内なる「動機」や「在り方」に光を当てて、ぶれない働き方を築く。

■心得まとめ

「声に従うな、心に問え。真理は静かにしている」

見た目・成果・言葉――それらは、常に人の心を引きつけるが、
内面を知らずして判断することは、影を追うようなものである。
仏陀は、まず「自分の内にある静けさと誠実さ」を見つめることを勧めている。
そこにこそ、惑わされない力、真理を選ぶ眼が育つのです。

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