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聞くことこそ、知を照らす灯である


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■引用原文(日本語訳)

四 この世では人間もまた、つねにそのようなものである。
知識はもっているかもしれないが、教えを聞くことが無ければ、
善悪のことがらを識別することができない。
――『ダンマパダ』 第二二章 第四節


■逐語訳

  • 知識を持っている:学問や情報、経験などの蓄積を指す。
  • 教えを聞くことが無ければ:他者からの導き、真理の言葉に触れることがなければ。
  • 善悪を識別できない:表面的な理解では、正しい判断や価値の選択ができない。

■用語解説

  • 知識(ヴィッディャー):世俗的・技術的知識を含む。情報量や記憶された事柄。
  • 聞法(もんぽう):仏教においては、真理(ダルマ)を聞き入れ、内化する修行の第一段階。
  • 善悪の識別(ダルマとアダルマの判断):単なる知識ではなく、正邪・正誤・倫理的判断を含む高次の智慧。
  • 常にそのようなもの:人間の普遍的な性質として、「知識だけでは足りない」ことを強調。

■全体の現代語訳(まとめ)

人は多くの知識を持っていても、それだけでは善悪の本質や道理を見分けることはできない。真に正しい判断力は、「聞くこと」、すなわち外からの教えを謙虚に受け入れる姿勢によって初めて生まれる――と仏陀は語る。


■解釈と現代的意義

この詩句は、**「知識と智慧の違い」**を明確に示しています。
インターネットやAIなどで情報に容易にアクセスできる現代では、知識偏重の傾向が強くなりがちです。しかし、知っているだけでは、正しい行動や善悪の判断には至りません。

むしろ、他者の言葉を聞く力、師や人生経験から学ぶ力、内なる沈黙の中で教えを受け取る力こそが、人を成熟させるのです。
「聞くこと」が知識に命を与え、智慧へと変えていきます。


■ビジネスにおける解釈と適用

観点適用例
学歴・スキルの限界優れた資格や学歴を持っていても、現場での失敗から何も学ばなければ判断力は育たない。
メンタリングの重要性若手社員は知識が豊富でも、経験者の助言を「聞く」ことで初めて判断力が磨かれる。
組織学習情報の共有やフィードバック文化を通して、「教えを聞く環境」を整えることが組織の成熟を促す。
謙虚なリーダーシップ聞く耳を持たないリーダーは、知識があっても誤った判断を下す。聞く姿勢が人望と正しさを築く。

■心得まとめ

「知は力であるが、聞くことが智慧を導く」
どれほど頭が良くても、どれほど情報に通じていても、
人は自分の限界を超えるとき、「誰かの声」「教えの言葉」に耳を澄ます必要がある。
それがなければ、知識はただの積み木であり、建築されるべき人格や判断力には至らない。


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