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知に住まず、行に生きよ


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■引用原文(日本語訳)

第二二章 学問(一)
聞いて学ぶことは善い。正しく行なうことも善い。
また住むべき家の無いことも善い。
正しいことわりにしたがって出家して遍歴することも善い。
――『ダンマパダ』 第二二章(学問)第一節


■逐語訳

  • 聞いて学ぶことは善い:他者からの教えや、聖典を通じての学びは善である。
  • 正しく行なうことも善い:知識を実際の行動として表現することが善い。
  • 住むべき家の無いことも善い:執着や所有から離れ、精神的にも自由であることが善い。
  • 正しい道理にしたがい、出家して遍歴することも善い:真理を求め、束縛から解かれた自由な生き方も善い。

■用語解説

  • 聞学(もんがく):耳で聞いて得る知識。仏教では聖典や師の教えを通して得る学び。
  • 正しく行なう:行動を戒律や倫理に照らして適切に実行すること。知行合一の実践。
  • 家無きこと:物理的な意味だけでなく、「我」や執着、安心領域への執着を捨てることを象徴する。
  • 出家遍歴:仏道修行のために家を出て、道理を求めてさまよう修行者の姿。真理への飽くなき探究の表れ。

■全体の現代語訳(まとめ)

他人から学ぶことは尊く、またそれを正しく実行することも価値あることである。
物や地位、安住の地に執着せず、正しい道に従って修行の旅を続けることもまた、修行者にとっては善き在り方である。


■解釈と現代的意義

この節は「学ぶこと」「実践すること」「所有を手放すこと」「真理を求める旅」の4つの徳を示しています。
知識に安住せず、行動によって智慧を体現し、執着を離れて進み続けることこそが、修行者=探求者としての理想の姿です。

現代の私たちにも、知識偏重になりがちな傾向がありますが、この詩句は「行ってこそ知は活きる」「居場所に執着してはならない」「真理のために常に動き続けよ」という指針を与えてくれます。


■ビジネスにおける解釈と適用

観点適用例
学びの姿勢研修・読書・先人の教えなどを積極的に吸収する。だが、学びで終わらず、実践に移すことが最重要。
行動主義知識偏重に陥らず、「まずやってみる」姿勢が組織内の信頼と自己成長を生む。
所有と執着の手放しポジションや成果への執着を捨て、流動的な環境にも順応する柔軟性を持つ。
キャリアの自由一つの会社や肩書に執着せず、より広い価値観や真理を求める「自由な働き方」の模索。

■心得まとめ

「聞いて終わるな、行って証せよ。所有を捨て、真理を歩め」

『ダンマパダ』は、知識の獲得だけではなく、それを手放すこと、行動すること、執着を超えて歩き続けることにこそ、本当の学びと生きる力があると教えてくれます。
ビジネスの現場でも、学んだ知識に満足せず、行動し、挑戦し、囚われを捨てて動く人間こそが、真に成熟したプロフェッショナルと言えるでしょう。

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