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怒らずに勝ち、与えて勝ち、真実で勝つ


目次

📜 引用原文(日本語訳)

第二〇章 怒り一九*
「怒らないことによって怒りにうち勝て。
善いことによって悪いことにうち勝て。
わかち合うことによって物惜しみにうち勝て。
真実によって虚言にうち勝て。」


🔍 逐語訳(逐語・一文ずつ訳)

  1. 「怒らないことによって怒りにうち勝て」
     他人の怒りに自分も怒りで返すのではなく、怒らないことによって争いを終わらせよ。
  2. 「善いことによって悪いことにうち勝て」
     悪意や不正に対しては、さらに大きな善行によって乗り越えよ。
  3. 「わかち合うことによって物惜しみにうち勝て」
     ケチで執着する心には、進んで分かち合う行為で打ち勝て。
  4. 「真実によって虚言にうち勝て」
     嘘や偽りの言葉には、誠実な真実の言葉でこそ応じるべきである。

🧩 用語解説

  • 怒らないこと(非瞋):怒りを持たず、冷静で寛容な態度を貫く心。
  • 善(クサラ):思いやり・誠実・道徳・利他行など、仏教でいう「正しい行為」。
  • 物惜しみ(マツァリヤ):自分の財物や利権を手放したくないという強い執着心。
  • 真実(サッチャ):事実に基づき、誠実で偽りのない言動。

📝 全体の現代語訳(まとめ)

怒りを鎮めたいなら、自分が怒らないこと。悪に勝ちたいなら、善行を尽くすこと。ケチな心を超えたいなら、誰かに分け与えること。偽りが蔓延する場では、自分が真実を語ること。それが仏教の教える「対抗しない勝利」、静けさと徳による克服の智慧である。


💡 解釈と現代的意義

この詩句は、「正の力による負の超克」を示す仏教の根本的指針です。
反応によっては、怒り・悪意・執着・虚言に飲み込まれてしまいますが、それぞれを逆の徳で制する
というアプローチは、現代社会における平和的問題解決や人間関係の再構築において極めて有効です。

ここで重要なのは、戦わずして勝つという「無力化の智慧」です。仏教は、感情や煩悩に反応しないことで、自己の主権を守り、周囲を巻き込まずに高い次元で物事を終息させる道を説いています。


🏢 ビジネスにおける解釈と適用

克服の型ビジネスでの応用例
怒らないことで怒りに勝つ社内トラブルやクレーム対応で、感情に巻き込まれず冷静に対応する。
善で悪に勝つ競争相手の中傷や不正に対して、自社は誠実な対応を貫き、信頼で差をつける。
分け与えて物惜しみに勝つノウハウやリソースをチームでシェアすることで、互いの信頼と成果が高まる。
真実で虚言に勝つ誤解や虚偽が拡がるとき、事実に基づく透明な説明を丁寧に行うことで、信用を守る。

🧠 心得まとめ

「怒りには沈黙を、悪意には善意を、執着には施しを、虚言には真実を」

争いを力で制しても、本質は癒えない。
だからこそ、怒りに怒りで応じず、
悪に悪で報いず、
奪いに奪い返さず、
嘘に嘘で返さない。
“徳”によって“悪”を制する――それが、静かで強い勝利の道である。


この詩句は、仏教における「対抗ではなく克服」「否定ではなく肯定による超越」の智慧を凝縮したものです。

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